高濃度フッ素配合の歯磨き剤の使い方・注意点

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2018年06月11日06時50分 Edit By:歯科医師 江頭伸行

歯磨き剤を使い歯磨きする女性

虫歯を予防するために必要なものといえば、『毎日の歯磨き』に次いで『フッ素』を思い浮かべる方も今は多いと思います。

虫歯予防のフッ素は私たちにとってはすでに身近な存在であり、実際に市場に販売されている歯磨き剤の90%にフッ素が配合されています。

そして近年、これまでよりさらにフッ素の濃度が高くなった歯磨き剤も市場で販売されるようになりました。
今回はこの高濃度フッ素配合歯磨き剤についてご紹介したいと思います。


1. 歯磨き剤のフッ素濃度の上限が1000ppmから1500ppmへ


フッ素が虫歯予防に効果的だとはいえ、やみくもにフッ素を取り入れたら良いというわけではありません。

どんな良薬も大量に体に取り込めば毒になるように、フッ素も限度を超えてしまうと急性中毒斑状歯(はんじょうし)などの慢性中毒を引き起こしてしまいます。

そのため日本では、歯磨き剤に配合できるフッ素の濃度の上限を「1000ppmまで」とこれまで定めてきました。
皆様がスーパーやドラッグストアなどで購入する大人の歯磨き剤のフッ素濃度は900ppmほど、小児用で500ppmほどが一般的です。

フッ素配合の歯磨き剤

一方で国際基準(ISO)が上限としているフッ素濃度は「1500ppm」であり、予防先進国のスウェーデンをはじめ諸外国はこの基準にそって歯磨き剤が販売されています。

つまり日本の基準は国際基準と比べると低い濃度に定められていたのです。

しかし日本もこの国際基準にならおうと、2017年3月からフッ素濃度の上限を「1500ppm」とし、高濃度のフッ素配合歯磨き剤が国から承認されることになりました。

☆『ppm』とは?
『ppm』は濃度を表す単位の1つで、配合される成分が微量である場合に用いられます。1ppmはパーセントで表示すると0.0001%です。

つまり歯磨き剤のフッ素濃度でいえば、
1000ppm=0.1%
1500ppm=0.15%
ということになります。

歯磨き剤のついた歯ブラシを持つ歯科衛生士


2. 濃度が高くなると、効果も本当に上がるのか?


歯医者さんでむし歯予防として使われるフッ化物塗布では、9,000ppmという高濃度のフッ素を含む薬剤が使われてれます。

歯磨き剤のフッ素の濃度が高くなったとはいえ、そこにどれだの効果が期待できるのかが気になります。
そこで実際に海外で発表されているデータをいくつかご紹介していきましょう。


若年永久歯列(若い人の永久歯)の虫歯予防効果は約10%アップする


スウェーデンのウメオ大学の調査では、1500ppmのフッ素配合歯磨き剤では1000ppmの歯磨剤よりも若年永久歯列の虫歯予防効果が9.7%も上がることが示されています。


フッ素濃度が500ppm上がると虫歯予防効果は6%増加する


WHO(世界保健機関)によると、1000ppm以上のフッ素配合歯磨き剤ではフッ素濃度が500ppm上がるごとに虫歯予防の効果が6%増加することが報告されています。

フッ素入り歯磨き剤で子供の歯を磨く女性


3. 6歳未満の子どもは高濃度フッ素配合歯磨き剤の使用を控える


1500ppmを上限とする高濃度フッ素配合の歯磨き剤は承認されましたが、ただし6歳未満の子どもの使用は認められていません。

実際に高濃度フッ素配合歯磨き剤を販売するメーカーには、パッケージに以下の要件を記載することが定められています。

6歳未満の子どもの使用は控えること
6歳未満の子どもの手の届かないところに保管すること
フッ化物のフッ素としての配合濃度をパッケージに記載すること

先に述べたように、フッ素も過剰に摂取すると体に何らかの害を及ぼすことがあるため、使用に際しては十分に注意が必要です。

しかしやたら神経質になって「フッ素はダメ」と決めつけてしまうのもよくありません。

フッ素は幼若な歯ほどその効果を大きく発揮することができるため、子どもの虫歯予防には非常に有効です。

6歳未満のお子さまの場合は1000ppm以上の歯磨き剤の使用は控え、低濃度の配合(500ppm)となっている子供用の歯磨き剤を使用しましょう。

歯ブラシとコップ


4. フッ素配合歯磨き剤の使用法


それでは各年齢別に、フッ素配合歯磨き剤の使用法について詳しくご紹介していきましょう。
(使用量の目安はペーストタイプの歯磨き剤の場合です)


6カ月〜2歳未満:500ppmの歯磨き剤を「切った爪程度」の少量で


フッ素は生後6カ月ごろ、最初の乳歯が生え始めたころからご使用していただけます。歯ブラシに「切った爪程度ほど」の少量の歯磨き剤を乗せ、保護者が仕上げ磨きの際に使用します。


3〜5歳:500ppmの歯磨き剤を5mm程度歯ブラシに乗せる


3歳になると乳歯もすべて生えそろいます。歯の本数の増加に合わせ、歯磨き剤の量も少し増やしましょう。

目安としてはフッ素濃度が500ppmのものを歯ブラシに5mm程度就寝前の仕上げ磨きでの使用がお勧めです。

その後のうがいは1回のみ少量の水(5〜10mlほど)を口に含んで軽くゆすがせます。
わずかに成分を口に残したほうがフッ素の効果をより高めることができるため、ゆすぎすぎには注意してください。

またフッ素配合歯磨き剤を使用した後は、30分〜1時間は飲食を控えましょう。

子供の歯磨きを見ている女性


6〜14歳:フッ素濃度の目安は1000ppm、就寝前の使用が効果的


高濃度フッ素配合歯磨き剤では「6歳未満の使用を控えること」とパッケージに記載しています。
それでは「6歳を過ぎれば使用してよいのか?」といえば、そこは慎重に考えたほうがよさそうです。

日本口腔衛生学会のフッ化物応用委員会が発表した「フッ化物配合歯磨剤の年齢別応用法」によると、6歳から14歳に推奨する歯磨き剤のフッ素濃度は1000ppmと記載されています。

つまり「15歳未満の児童においては基本的に1000ppmまでのものを選びましょう」ということになります。

フッ素配合歯磨き剤は毎回の歯磨きに使用できますが、特に就寝前の使用が効果的です。
うがいは少量の水を口に含んで、1回のみの洗口にとどめましょう。



15歳以上:虫歯リスクの高い人は、1000〜1500ppmの高濃度フッ素を取り入れよう


1000〜1500ppmの高濃度フッ素配合の歯磨き剤は、15歳以上の方で普段から「虫歯になりやすい」「虫歯が心配」と感じている方にお勧めです。

フッ素濃度が1000ppmを超える歯磨きにはパッケージにフッ素濃度が記載されていますので、その濃度を確認のうえ購入してみましょう。
高濃度フッ素配合の歯磨き剤

1450ppm高濃度フッ素歯磨き剤と子供用 950ppmフッ素歯磨剤


4. 最後に…


この度はホームページをご覧頂きありがとうございます。

歯磨き剤もずいぶん進化し高濃度フッ素歯周病予防ホワイトニング効果など高機能な薬効のある歯磨き剤が登場しています。

現在の歯磨剤は毎日の歯磨きの時に、ぜひ取りいれたいアイテムとなっています。

それらをうまく自分にあった歯磨き剤を選び活用して、虫歯や歯周病で困らない未来を目指しましょう。