歯槽膿漏とは


歯槽膿漏とは

歯槽膿漏とは、歯を支えている歯槽骨と言う歯の周囲の骨が溶けて、歯の周囲から膿が漏れ出てくる状況をさすで病気です。

・歯茎が腫れ
・血が出やすくなる
・口臭がする
・歯茎から膿がでる など

現在での、歯周病の重度の状態を歯槽膿漏とも言うことができます。
歯槽膿漏と言う言葉は、最近あまり聞かれなくなってきている言葉で、現在では「歯周病」や「歯周炎」のほうがよく使われています。

1. 歯槽膿漏とは

歯槽膿漏とは、歯を支えている歯槽骨と言う歯の周囲の骨が溶けて、歯の周囲から膿が漏れ出てくる状況をさす言葉です。

現在での、歯周病の重度の状態を歯槽膿漏とも言うことができます。

実は「歯周病」という言葉ですが、現在では当たり前に使われていますが約40年前はまだ使われていませんでした。

私が歯科大学に入学した1991年当時、歯科大学では「歯周病学」の講座が創設されて5年目だったので、「歯周病」という言葉は、そのころから一般的な用語として使われ始めました。

「歯槽膿漏」は年配の方が主に使われているようです。

なぜかというと、歯槽膿漏という言葉を使っていた時代の日本の一般開業医では歯槽膿漏は病原菌による感染症だという事が認知されていなかったようです。

また、当時の健康保険に歯槽膿漏の治療も適応範囲に入っていませんでした。

「歯磨きが悪いと歯槽膿漏になる。」という事実は知っていても、
なぜ起こるのか?
原因が何なのか?

などが分かっていなかったと言います。

近年、検査機器の発達や医学の進歩により、歯垢(プラーク)は細菌の塊で、1mg中に10億もの細菌がいるとことが解り、歯槽膿漏になるメカニズムが次第に判明しました。

位相差顕微鏡の画像

歯槽膿漏の原因は、歯周病菌と呼ばれる細菌が原因となる病気です。

歯磨きによるお口の中の掃除を怠ったり、行き届かなかったことにより歯垢(プラーク)が蓄積し、その中に住んでいる細菌が増え、細菌の活動によって歯茎が炎症を起こしてしまい、赤くなったり腫れたり、口臭がしたり、膿が出たりします。

歯周病は初期、中期、末期とあり、何年も何十年もの長い時間をかけて病状は進みます。

日本では成人の80%前後の方が歯周病になっていると言われています。

歯槽膿漏は、生活習慣病といわれる糖尿病や高血圧などと同じで初期の段階ではあまり自覚症状がありません。
口臭も自分自身では気づきにくいです。

気づいた時には病状がかなり進行しているといった事も珍しくありません。

自分が歯槽膿漏にかかり始めているか、あるいは自分の歯槽膿漏がどの程度進行しているかということを知っている人は、実に少ないのです。

歯茎が痛む女性の画像

2. 歯槽膿漏の症状

〇初期の歯槽膿漏(歯周病)
・歯肉炎…歯茎がたまに腫れたり、赤く充血したり、歯ブラシに血がにじむ程度

・初期の歯周炎…ときどき歯茎が腫れ、出血しやすくなり歯ブラシをした時には出血します。
お口の口臭も出始めます。歯の揺れはなく噛んでも痛くありません。痛みのない状態です。

〇中等度の歯槽膿漏
頻繁に歯茎が腫れ出血しやすく、歯磨きをした時には多く出血します。お口の口臭も出ます。

歯ぐきを押すと歯の周囲から膿が出ることがあります。歯が揺れ始め、硬いものが噛みにくくなる。
歯が浮くような感じになる時がありますが、腫れた歯茎を押すと痛む程度でまだ強い痛みのあまりない状態です。

〇末期の歯槽膿漏
歯茎は腫れ続けて歯ブラシを当てなくても出血する(自然出血)ようになり、歯の周囲から膿が出続けお口の口臭はかなりきつくなります。

歯の揺れの検査画像

歯を支えている歯茎の骨がほとんど無くなり歯は著しく揺れて、硬いものが噛むことができなくなります。
定期的に歯茎が大きく腫れ痛みは強く出るようになります。

3. 歯槽膿漏の治療法

〇患者様ご自身で歯槽膿漏の治療のためにすること
歯槽膿漏になる原因は、患者様ご自身の毎食後の歯磨きする習慣がキチンとできていなかったり、磨いていても綺麗に磨ききれていなかった為、お口の中に歯周病菌が増えたことが原因となる病気です。

歯槽膿漏の治療では歯周病菌などの原因菌を減らすため、まずご自身が毎食後に歯磨きをする習慣の徹底することや時間をかけて歯磨きを徹底的に行うことです。

もし自分で歯を磨くのが下手だと感じるなら、電動音波歯ブラシなどを購入し歯を磨いてください。

次に生活習慣の改善です。

食べたら歯を磨く、寝る前はよりしっかりと歯磨きをする。

洗口剤(マウス・ウオッシュ:リステリンなどのデンタルリンス)を使用し殺菌する、という習慣をつけましょう。

1日や2日頑張っても意味がありません。

毎日続ける習慣をつけましょう。

歯ブラシと洗口剤の画像

薬局や歯科医院などでも販売している「歯槽膿漏予防用」や「歯周病予防用」と表示のある歯磨き剤やうがい薬(洗口薬)、塗り薬を積極的に使用しましょう。

口臭予防用のみの記載があるうがい薬(洗口剤)では、口臭は改善されますが歯槽膿漏・歯周病には効果がありません。

中等度の歯槽膿漏の場合、歯周病菌の温床となる歯石がついてしまっています。
薬局で販売しているような「塗る歯槽膿漏薬」「歯槽膿漏用の歯磨き剤」で一時的に改善されることがありますが、完全に治癒することはありません。

歯石は硬く、ご自身で完全に除去することは難かしいです。
歯槽膿漏治療専門の歯科医院で完全に除去してもらいましょう。

〇歯科医院での歯槽膿漏治療
歯科医院での治療は、ご自身では取れない歯垢(プラーク)や歯石の除去、歯の根の表面をツルツルして除菌することが基本となります。

歯科衛生士にブラッシング指導を受け患者様ご自身がしっかりと歯を磨けるようになるテクニックやアドバイスをすることも効果的です。

歯科衛生士による歯磨き指導

重度の歯槽膿漏の場合は、歯茎の手術(フラップ手術)や歯周組織再生療法(GBR法、エムドゲイン法、リグロスなど)を行わないと治癒しない時があります。

4. 歯槽膿漏と関係がある他の全身の病気

最近の研究で歯槽膿漏は、ただ単に口だけの病気ではないことが分かって来ています。

全身疾患との関連が示唆されています。

特に糖尿病を患っている方は歯槽膿漏になっている人が多く、治りにくいです。
また、心臓に関係して動脈硬化を引き起こす(心筋梗塞の)原因の一つ。
骨粗鬆症や妊婦への影響として低胎児出産なども関連性、リュウマチ、アルツハイマー病などへの関連が示唆されています。

最後に…

歯槽膿漏は気づかないうちに進行してしまいます。
歯茎の腫れや歯磨き時の出血、口臭など異常を感じたら、すぐに対処することで歯槽膿漏の悪化を防ぐことができます。

初期や中等度の歯槽膿漏は治療することができます。

重度の歯槽膿漏になると歯茎の骨が溶けてしまい、歯の揺れが大きくなると治療できず歯を抜くことしかできない病気です。

ご自身で毎日の歯磨きや、うがい薬、塗り薬で改善されないと思ったら、歯槽膿漏を治療する専門の歯科医院で相談して適切に治療してもらうことが一番です。

大阪市阿倍野区西田辺えがしら歯科では、歯槽膿漏治療の専門に行っております。

お口に関するお悩みやご質問などございましたら、お気軽にご相談ください。

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医療法人 優伸会 えがしら歯科 審美・歯周・インプラントセンター併設
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