インプラント治療後のMRI検査は大丈夫?
こんにちは、大阪市阿倍野区西田辺えがしら歯科の院長の江頭です。
当院でインプラント治療をされている患者さんから、インプラント治療後のMRI検査は大丈夫ですか?と質問されることがあります。
今日は、そのインプラント治療後のMRI検査について書いていきます。
MRI検査とは
脳外や人間ドックなどで、脳のMRI検査(磁気共鳴イメージング)を受けようとしたら聞かれたと言う場合が多いのではないでしょうか。
また、MRI検査前の問診で「インプラントをしていますか?」と問診票の記入欄もあることでしょう。
MRI検査はレントゲン撮影ではなく、強い磁力を使って体を検査する機械です。
ですので、基本的にはMRI検査室にはなので金属や磁石を持ち込むことができません。
特に磁石でくっつくような金属を身に付けていると、きちんと検査データがとれないこともありますし、事故の原因につながることもあります。
MRI検査装置の磁気はとても強力で、少しくらい離れていても、金属を引き寄せてしまうほどです。
2012年の第30回 医療事故報告書によると、酸素ボンベや埋め込み式のペースメーカー(人工心臓弁)、人工内耳など患者さんの事故が報告されています。
詳細はストレッチャーの下についていた酸素ボンベが検査中に磁力で引き寄せられてMRI装置が破壊されたことや、鉄製のトレイが磁力で引き寄せられて飛んで怪我をするといった例が記載されていました。
現在、MRI検査に関して禁忌とされているインプラント(体内埋め込み医療機器)は、古いタイプの心臓ペースメーカー、人工内耳、除細動器、脳動脈クリップなどとされています。
インプラント治療後のMRI検査
インプラントにはいろいろな種類があり、体に埋め込む治療機器のことを通常、インプラントと呼んでいます。
歯科で知慮する歯茎に埋め込むものは正式には「歯科インプラント」と呼ばれています。
インプラント治療後のMRI検査に関しては、いくつかの考慮事項があります。
一般的に言えば、チタン製のインプラントはMRI検査において安全であり、インプラント自体には磁場やラジオ波の影響を受けません。
チタンは「非磁性体」と呼ばれる部類の金属にはいり、磁力の影響を受けません。
チタンやチタン合金は磁石には引き寄せられないのです。
MRIの磁場に対して反応を示さないため、検査中にインプラントに問題が生じることはほとんどありません。
ただし、以下の点に留意する必要があります。
1.インプラント周囲の組織
MRI検査は、身体の組織や器官の詳細な画像を提供するため、インプラント周囲の組織に影響を与えることがあります。特に、インプラント周囲の炎症や腫れ、組織の異常な変化を検出する場合、MRIの結果が解釈されることがあります。
2.インプラントの種類
インプラントにはさまざまな種類があります。MRIの検査には、メタルアーティファクト(金属による画像の歪みやノイズ)が生じる可能性があるチタン以外の金属によるインプラントやアバットメントが使用されている場合、注意が必要です。これにより、周囲の組織の評価が困難になることがあります。
3.検査範囲と目的
MRI検査の目的によっては、インプラント周囲の評価が必要な場合もあります。ただし、その際には専門の歯科医師や放射線科医との協力と相談が重要です。
重要なことは、MRI検査を受ける前に、歯科医師と放射線科医に詳細な情報を提供し、インプラントの種類や位置、治療の詳細について話し合うことです。
それに基づいて、最適な検査方法と安全性の確保を確認することが重要です。
MRI検査とCT検査
ちなみにMRI検査の他にCTという検査があります。似たような英字なので混同される方がいらっしゃいますので、簡単に説明します。
MRI検査は磁気によって検査しますが、CTはX線(レントゲン)によって検査します。そもそも基本的な原理が違います。
また、MRIは脳や関節など水分が多い場所(柔らかい)を検査することに適しています。CTは逆に硬いところ骨などの検査をすることに適しています。
MRIとCTは、撮影方法も技術もまったく異なるものです。どちらも体の断面を撮影するので、よく一緒に語られることが多いですが、検査の目的に応じて行われます。
阿倍野区 西田辺えがしら歯科 院長
IDIA国際口腔インプラント学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
歯科医師 院長 江頭伸行