阿倍野区 西田辺えがしら歯科 歯周内科

薬で歯周病を治療する歯周内科の治療

歯周病治療の薬

歯周病を治すためには、歯周病を引き起こす細菌を除去することが重要です。

そのため歯周病治療においては、細菌の巣窟となる歯垢や歯石を取り除くことが基本とされています。

一方で歯周病を原因菌による感染症ととらえ、他の感染症と同じように薬で歯周病を治す治療法が注目されています。

このような薬を用いた歯周病の治療は「歯周内科」と呼ばれ、最近では歯周内科の治療を掲げる歯科医院も増えてきました。

それでは実際に歯周内科とはどのような治療法なのか、従来の治療法とどのように違うのかなどを詳しくご紹介していきましょう。

1. そもそも歯周病とは?

歯科における2大疾患といえば虫歯と歯周病です。
どちらも口の中に存在する原因菌によって引き起こされる疾患であり、また最終的に歯を失う要因となるなど似ている点も多くあります。

しかし虫歯は虫歯菌が歯に感染して引き起こす疾患であるのに対し、歯周病は歯周病菌が歯ぐきや歯を支えている骨に感染して引き起こす疾患です。

そして両者が大きく異なるのは、進行による痛みの度合いや修復できる限度にあります。

虫歯も初期では痛みは感じませんが、冷たいものがしみたり、歯がざらつくなどの違和感を覚えます。
そして虫歯は進行するにつれて痛みが発生し、その痛みも徐々に大きくなるのが特徴です。

また虫歯の場合、ある程度歯が残っていれば、詰め物や被せ物などで歯の形を元の形に戻すことができます。

歯科治療

一方、歯周病の恐ろしいところは進行しても痛みがでにくく、強い痛みや腫れがでたころには重症化しているケースが多いことです。

歯周病は重度になると歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)【顎の骨のこと】という骨が溶けてしまいます。
そして、歯が揺れて噛めなくなってしまいます。

歯槽骨は一度溶けてしまうと修復しにくく、歯槽骨の再生治療を行わなければ回復させることが非常に困難な組織です。

歯周病は成人の約80%の人が感染しいているといわれ、進行が進めば進むほど完治が難しくなる疾患です。

歯周病の再生治療でも限界があり、部分的な歯槽骨のなら治療可能ですが、全体的に歯槽骨(顎の骨)がない場合には行えません。

以下の症状が気になる方は、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。

歯周病であらわれやすい症状
・歯磨きの時に歯ぐきから出血がある
・歯ぐきが赤く腫れている
・歯が揺れる
・口臭が強い
・唾液が粘つく
・歯ぐきがむずがゆい、違和感がある

2. 従来の歯周病の治療


歯周ポケットとプラーク(歯垢)歯周病を引き起こす細菌はバイオフィルムと呼ばれる菌の塊となってプラーク(歯垢)や歯石の中に存在しています。

特に歯周病の原因となるのは、歯と歯ぐきの境目や歯周ポケットとよばれる歯ぐきの隙間にあるプラーク(歯垢)や歯石です。

歯周病の治療はまず、これらの歯垢や歯石を取り除くことが基本になります。

また汚れを取り除いた後に、再び細菌に感染しないように口腔環境を整えることも重要です。

歯周基本治療

歯周病で最初に行う治療を歯周基本治療と言います。
歯周基本治療は歯周病の原因となるプラーク(歯垢)や歯石を取り除き、プラークコントロールを徹底することを重点に置いています。

【プラークコントロール】
プラークコントロールとは、歯周病菌を減らすことです。
歯周病を改善し、また今後の進行を防ぐためにはプラークコントロールが不可欠になります。

そのために重要となるのが毎日の歯磨きです。

歯周基本治療ではプロによるブラッシングのチェックや、歯間ブラシなど清掃補助器具の使用法を通して、患者様自身がセルフコントロールを十分に行えるよう指導します。

歯科衛生士 歯磨き指導

【スケーリング・ルートプレーニング】
患者様自身では落とすことのできない歯石を、歯科医院で徹底的に取り除いていくのが、スケーリングやルートプレーニングといった治療法です。

特に歯周病の原因となる歯石は、歯の表面でなく歯と歯ぐきの小さな隙間に入り込んでいたり、時間の経過とともに硬く固まってしまっているケースが多く見られます。

そのような汚れを専用の器具で丁寧に取り除くことで歯周病を改善し、さらなる進行を予防することがスケーリング、ルートプレーニングの目的です。

スケーリング

歯周外科治療

歯周基本治療を終えてなお歯周病の病状が改善しない、または一時的に改善しても再び病状が悪化しやすいケースに関しては、さらに踏み込んだ外科治療を行います。

具体的には歯ぐきを一部切開し、隙間の奥深くに入り込んだ歯石を取り除く手術や、再び汚れが溜まらないように歯ぐきの形を整える歯肉形成手術などがあります。

3. 歯周内科とは

上記に述べたように、従来の歯周病の治療は歯垢や歯石を機械的に除去することが治療の主体です。
ただ従来の治療法には、治療に時間がかかったり、さらに同じ治療を行っても治る過程に個人差があるなどの問題点があります。

その原因として、唾液やプラーク(歯垢)、歯石の中に存在する歯周病菌は数種類あり、感染している菌の種類や量が個人によって大きく異なる点が考えられます。

つまり歯周病と一口に言っても、歯周病を引き起こす細菌の種類や量に個人差があるため、同じ治療を行っても治る人と治らない人が生じてしまうわけです。

歯周内科ではこの点に着目し、個々に異なる歯周病菌の種類を特定して、その歯周病菌に効果の高い薬を用いて原因菌に直接アプローチし殺菌していきます。

歯周内科治療

歯周内科の検査

歯周内科では、まず患者様の唾液やプラーク(歯垢)の中に含まれる細菌の種類や量を特定していく検査を行います。

肉眼では確認できませんが、人間の体の中には誰一人例外なく、かなりの細菌が生息しています。
全ての細菌が悪い訳ではありません。人の健康に密接に関与している良い細菌もいます。

歯周病菌

位相差顕微鏡による検査

位相差顕微鏡とは簡単にいうと倍率の高い顕微鏡の事です。
この顕微鏡を用いた検査では、患者様のお口の中から採取した唾液やプラーク(歯垢)の中にどのような細菌が存在しているのかを調べていきます。

位相差顕微鏡は細菌以外にも、カビの原因となる真菌や歯肉アメーバなどの原虫の存在も確認することが可能です。

位相差顕微鏡は高額ですが、歯周病の治療に力を入れている歯科医院には設備されていて、その場で見ることができます。特別な費用はかかりません。

歯周内科 位相差顕微鏡

リアルタイムPCR法による検査

唾液や歯垢の中には無数に菌が存在し、また歯周病を引き起こす細菌にもいくつかの種類があります。
位相差顕微鏡では細菌の存在や状態を確認することができますが、歯周病を引き起こす細菌を細かく特定するまでには至りません。

そこで有効になるのが菌の種類と数を測定するリアルタイムPCR法による検査です。
お口の中のプラーク(歯垢)を採取し検査会社に依頼して調べてもらいます。
約1週間ほどで検索結果が出ます。
通常、調べるのが歯周病菌の悪玉の6菌種です。

Treponema denticola (トレポネーマ・デンティコーラ)
Porphyromonas gingivalis (ポルフィノモナス・ジンジバリス)
Tannerella forsythus (タンネレラ・ファーサイシア)
Aggregatibacter actinomycetemcomitans (アグリゲイトバクター・アクチノマイセテムコミタンス)
Fusobacterium nucleatum (フソバクテリウム・ヌクレアタム)
Prevoterlla intermedia (プレヴォテーラ・インターメディア)

リアルタイムPCR法の検査を行うことにより、数値で歯周病菌が表される様になり、どの歯周病菌が原因になっているのかが判明します。

歯周病のリスク度を知ることができるようになり、より細かな薬の選択ができ治療計画がたてやすくなります。

歯の検査

4. 歯周内科の診断・治療

上記の方法で患者様の口の中に存在する歯周病菌を特定し、その特定された細菌に対して薬による治療が有効と診断された段階で、実際の歯周内科の治療がはじまります。

歯周内科の治療では最初の段階で抗菌剤などの内服薬が処方され、所定の期間その薬を服用します。
また、同時に抗菌作用のある歯みがき粉うがい薬なども併用する場合もあります。

その後、再度口の中の細菌の状態を調べ、一定の効果が見られた段階でプラークコントロールや歯石の除去といった基本治療を行います。

歯周内科では治療初期に薬を使用して細菌の数を減らすため、とても早い段階で歯ぐきの状態が改善されます。

これによって歯石除去などに伴う痛みを少なくしたり、従来よりも治療期間が短くできる点が歯周内科のメリットです。

歯周内科の診察

5. 治療する薬と期間について

歯周内科に使う薬は抗菌薬(抗生物質)と抗カビ剤(抗真菌薬)の2種類です。

抗菌薬(抗生物質)は、ジスロマックという薬を使います。
風邪を引いたときに出される薬でもあるので飲んだことがある方もおられるかもしれません。

ジスロマックには耐性菌が出てきており、薬の効果が少ない場合には別の薬を追加投与します。

次に抗カビ剤(抗真菌薬)は、ファンキゾン シロップまたはハリゾン シロップという薬液で歯磨きをしてもらいます。
これらの除カビ(真菌)効果が非常に高い薬剤です。

ジスロマックを内服すると同時に抗カビ(真菌)剤で、歯磨きを開始するのが一番効果が高いと立証されています。

治療期間は、ジスロマックが効いている10日間-2週間で終わります。

※薬剤の投与は各薬剤の厚生労働省の添付書類通りの量と期間にしています。
*ジスロマックの副作用として、服用後に軽い腹痛や下痢などの胃腸障害が出る場合があります。

歯周内科の薬

6. 治療した後は、再感染に気をつけましょう

一度、歯周病菌を除菌しても再度、感染することがあります。
例えば、飲み物の回し飲み、回し食い、お箸の使いまわし、キス、くしゃみなどで感染することがあり、夫婦や家族、ペットから再度、感染する可能性があります。

簡単に感染することはありませんが、気を付けていた方が良いでしょう。
この治療は、夫婦一緒に治療することをお勧めします。

毎日の歯磨きと洗口(うがい)や歯科医院での定期的な歯のクリーニング(メインテナンス)によりプラーク(歯垢)や歯石、カビ菌を定期的に除去しましょう。

歯科医院での期的な歯のクリーニング(メインテナンス)の期間は1-4ヶ月が目安です。

その都度、位相差顕微鏡により、歯周病をおこす細菌が再感染していないか、また、お口の中が再感染しやすい環境になっていないか、顕微鏡を用いた歯科医院での定期検診を受けるようにしましょう。

歯のメインテナンス

安易な薬剤の使用には注意が必要

こ以上のように、歯周内科は歯周病の原因菌に薬を直接作用させることで、従来の治療に比べて患者様の負担を軽減し、早期に治療を完了させることができます。

しかし、歯周内科もメリットばかりではありません。

「薬で歯周病が治せる」と聞くと誰しも飛びつきたくなりますが、すでに重度の歯周病にかかられている方には手遅れになっている場合もあります。

デメリットとしては、歯周内科は基本的に健康保険が適応されません。

また、確率はかなり低いですが薬で副作用を起こす場合があります。
他の薬を飲まれている場合、飲み合わせにも気を付けなければなりません。

従って歯周内科の治療を受ける際は、受診する歯科医院が歯周内科に関してどれほど精通しているかが大きなポイントとなります。

目新しい治療法を安易に考えず、適切な診査や診断を行い、歯周内科治療を正しい知識の元で治療を行う歯科医院を受診するよう心がけましょう。

歯を磨く女性

6. 最後に…

この度はホームページをご覧頂きありがとうございます。

歯の豆知識ページの歯科治療において、皆様へ何かしらのご参考なれば思い作成させていただいております。

当院は「一般社団法人 国際歯周内科学研究会」に所属し、最新の位相差顕微鏡を設備し、リアルタイムPCR検査を実施することができます。

歯周病の治療時に上記の歯周内科の治療も実施しております。

また、当院は日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会にも所属し基本的な歯周病治療やから、高いレベルの歯周外科処置であるGTR法(歯周組織再生誘導法)やエムドゲイン法、新薬剤のリグロスを使った歯槽骨を回復させる最新の歯周病の再生治療を提供する技術を習得しております。

安心してご来院頂けるように、お口の状況・治療内容など詳しく検査し、ご説明した上で治療を進めています。

地域の皆様と笑顔で楽しい毎日、そして何でも食べられる喜びを分かち合えるよう、スタッフ一同しっかりサポートさせて頂きます。
お口に関するお悩みやご質問などございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

大阪市阿倍野区西田辺えがしら歯科
歯科医師 院長 江頭伸行


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