歯槽骨を回復させる最新の歯周病の再生治療

歯槽骨は歯の周囲にある骨で、歯を支えている組織の1つです。
歯周病は進行すると、歯周病菌が歯槽骨を破壊します。歯槽骨は一度破壊されるとなかなか回復しにくいため、重度の歯周病では抜歯を余儀なくされるケースが多くなります。

歯周病

従来の歯周病治療では回復が難しかった歯槽骨ですが、近年では再生療法が発達し、歯槽骨も再生し回復できるようになってきました。

今回は歯周病治療である歯周組織再生療法のGTR法(歯周組織再生誘導法)、エムドゲイン法、新薬のリグロスによる治療法について、具体的な治療法なども含め詳しくご紹介していきます。

1. 歯周組織再生療法とは

歯周組織とは、歯の周りを取り囲んでいる組織の総称です。
具体的には、歯ぐき、歯根膜(しこんまく)、セメント質、歯槽骨(しそうこつ)の4つの組織から構成されています。

歯周病は歯周病菌によってこの4つの組織が破壊されていく病気です。

歯周病菌

歯周病の初期(歯肉炎)では、炎症も歯ぐきのみに限定されますが、それが悪化すると次に歯根膜、セメント質、歯槽骨にまで炎症が波及し、それぞれの組織を破壊していきます。

歯周組織の中でも歯槽骨は歯を、その場所に維持するためには非常に重要な組織です。

その歯槽骨が歯周病菌によって一度破壊されてしまうと、元通りに回復するのは非常に困難です。
そのため歯周病が重度になると歯が支えられなくなり、多くの場合で抜歯が避けられなくなります。

歯周組織再生療法とは、歯周病菌によって破壊された歯周組織を新たに再生させる歯周病治療です。

歯周組織再生療法では、特殊な材料や薬剤、そして高度な技術を用いて、特に通常の治療ではなかなか回復できなかった歯槽骨の回復を図っていきます。

これによって本来は抜歯せざるを得なかった歯を、可能なかぎり温存できるようになります。

歯周組織再生療法の代表的なものは、GTR法とエムドゲイン法の2つの方法です。
それでは、それぞれの治療方法について以下に詳しくご紹介してきましょう。

GTR法(歯周組織再生誘導法)

GTR法はguided tissue regenerationの略語で、日本語では歯周組織再生誘導法と呼ばれています。

先にも述べたように、歯槽骨は歯周病菌によって一度破壊されてしまうと、元のように回復するのが難しい組織です。

その要因の1つは、歯槽骨の回復スピードが歯ぐきの回復スピードよりも遅く、歯槽骨がなくなって空いたスペースに歯ぐきの方が先に回復してしまう点にあります。

つまり歯槽骨が回復しようとしても、そのスペースに歯ぐきが先に侵入してしまい、歯槽骨がうまく回復できなくなってしまうわけです。

GTR法(歯周組織再生誘導法)は歯槽骨が破壊されて空いてしまったスペースに人工骨をつめ、その上に特殊な膜(メンブレン)をおいて、そのスペースに歯ぐきが侵入しないようにすることで、歯槽骨の再生を促し回復させる方法です。

歯周病治療GTR法

GTR法(歯周組織再生誘導法)の施術方法

GTR法(歯周組織再生誘導法)の具体的な方法としては、まず歯槽骨が破壊された部位を外科手術によって開き、その部位の歯石や汚れなどを綺麗に取り除きます。

その後歯槽骨を再生したい部位に人工骨をつめ、人工膜(メンブレン)で覆い、縫合して歯槽骨の再生を待ちます。

GTR法(歯周組織再生誘導法)で使用する人工膜には、そのまま歯周組織の中に吸収される「吸収性」の膜と、歯槽骨の再生が確認されたあとに取り除く「非吸収性」の膜の2種類あります。

吸収性の膜は4?6週間程度で組織に吸収されるため、外科的手術が1回で済むのが利点です。
最近は、吸収性のメンブレンを使用する方が多いです。

一方の非吸収性の膜は2回の手術が必要になりますが、歯槽骨が再生するまでスペースを空けておく期間を調整することが可能になります。

エムドゲイン法

エムドゲイン法は歯槽骨がなくなってしまった部位に、エムドゲインと呼ばれる歯周組織再生誘導材料を塗布し、歯槽骨の再生し回復を促す方法です。

エムドゲインは、若い豚の歯胚(歯や歯周組織ができる細胞の集まり)から取り出したタンパク質の一種が主な原料です。
このタンパク質は子供の歯が生えてくる際にも非常に重要な役割を担っています。

エムドゲイン法は破壊された歯槽骨の周りにエムドゲインを塗布し、人工骨をつめて、その部位を歯周組織が作られていく過程と同じ環境にすることで、歯槽骨の再生し回復を促していきます。

エムドゲイン

エムドゲイン法の施術方法

エムドゲイン法はGTR法(歯周組織再生誘導法)と同様、まずは歯槽骨が破壊された部位の歯ぐきを開き、歯石やプラークを完全に取り除いていきます。

そして歯槽骨を再生したい場所にエムドゲインを塗布し、人工骨をつめて、歯ぐきを元に戻して縫合して終了となります。

エムドゲイン法は外科手術が1回で済み、またGTR法(歯周組織再生誘導法)と比較して術式もシンプルです。

また、術後の感染症などのリスクも少なく、患者様の負担が少ないというメリットがあります。

歯周組織再生剤 リグロスによる治療法

平成28年12月1日、歯周組織再生剤「リグロス歯科用液キット600μg/1200μg」(一般名:トラフェルミン)が、歯周病治療の際につかわれる歯周組織再生治療の新薬として、エムドゲイン以来20年ぶりに発売されました。

今年、6月より一般歯科医院へ販売も開始されました。

このリグロスは、組み換え型ヒトbFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)を有効成分としている世界で初めての歯周組織再生医薬品なのです。

難し言葉でわかりにくいと思いますので、簡単に説明します。

リグロスの主成分のbFGFは、傷を修復させる作用を引き出す力が強いことが特徴です。

リグロスの特徴は、組織再生の要である血管を早期にどんどん作り、新しい細胞を呼び込み、歯茎の細胞の増殖を促進させる効果があります。

この効能により、リグロスは組織再生により良い環境作りを早期に行い、結果に歯ぐき、歯根膜(しこんまく)、セメント質、歯槽骨(しそうこつ)の4つの組織をバランスの良い歯周組織を再生させる治療法です。

リグロスの施術方法

リグロスはGTR法(歯周組織再生誘導法)やエムドゲイン法と同様、まずは歯槽骨が破壊された部位の歯ぐきを開き、歯石やプラークを完全に取り除いていきます。

そして歯槽骨を再生したい場所にリグロスを塗布し、歯ぐきを元に戻して縫合、エムドゲインとほぼ同じ術式です。

リグロスもエムドゲイン法と同じく外科手術が1回で済み、またGTR法(歯周組織再生誘導法)と比較して術式もシンプルです。

また術後の感染症などのリスクも少なく、リグロスはエムドゲインに比較して歯槽骨などの組織を再生させ回復する量が多いと言われています。

まだ発売されて間もないので臨床データは少ないですが、リグロスはエムドゲインに代わる期待できる新薬剤だと思われます。

歯科

治療費について

GTR法は健康保険適応になっており、1本の歯あたり1割負担の方で約5.000円、3割負担の方で約15.000円です。

エムドゲイン法は現在、健康保険外で自費治療なっており歯科医院によって治療費はことなり、約5-10万円が相場です。

リグロスによる治療法は、昨年11月に健康保険適応になっております。
1本の歯あたり1割負担の方で約3.000円、3割負担の方で約9.000円です。

注意点ですが、多くの場合は1本だけではなく、数本に渡って手術が必要であるため、歯の本数に応じた費用がかかります。

どちらの治療法もプラークコントロール(歯垢除去)が重要な鍵

従来の歯周病治療だけでは回復できなかった歯槽骨も、歯周組織再生療法を行うことで再生できるようになりました。

この方法によって、これまで抜歯せざるを得なかった歯を保存することも可能になってきています。

しかし、歯周再生療法で必ずしも歯槽骨が回復できるとはかぎりません。

歯周病治療の基本はやはりプラークコントロール(歯垢除去)であり、再生療法が功を奏すか否かもプラークコントロールが徹底されているかどうかが重要な鍵となってきます。

歯周組織再生治療を受ける場合も、毎日のブラッシング、そしてプロによるクリーニング(スケーリング・ルートプレーニング、PMTC等)による口腔内の環境改善が大切であることを忘れないようにしましょう。

4.最後に…

この度はホームページをご覧頂きありがとうございます。

歯の豆知識ページの歯科治療において、皆様へ何かしらの参考やお役に立てればと思い作成させていただいております。

「健康な歯」は何よりも代えがたいものがあります。

一度悪くしてしまっても、最良の治療を行えば「健康な歯」は取り戻せます。

当院では、歯周病治療時に上記のGTR法(歯周組織再生誘導法)やエムドゲイン法、新薬剤のリグロスを使った治療を提供することができます。

そして、歯周組織をより再生させ回復させるために、CGF再生療法を組み合わせて施術し、痛みを極力少ない治療を心掛け、新しい設備と技術を習得しております。

また、当院では安心してご来院頂けるように、お口の状況・治療内容など詳しく検査し、歯科カウンセラーがご説明した上で、極力、痛くない治療を進めています。

皆様と笑顔で楽しい毎日、そして何でも食べられる喜びを分かち合えるよう、スタッフ一同しっかりサポートさせて頂きます。

お口に関するお悩みやご質問などございましたら、お気軽にご相談ください。

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医療法人 優伸会 えがしら歯科 審美・歯周・インプラント
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