もし飲食店でこんな事があったら、あなたならどう思いますか?
席に通されると、テーブルは汚れたまま。
出てきたお皿も汚れが残っている、コップには口紅がついている。
フォークやナイフもキレイに洗っているか解らない…。
とてもじゃないけど気持ち良く食事ができないですよね。
それどころか、衛生面でもとても心配です。
実はそれと同じことが、一部の歯科医院でも起こっている可能性があります。
みなさんは普段、歯医者に限らず医療機関を受診するとき、「医療機関だから衛生管理が徹底されている」と当たり前に思っているのではないでしょうか。
2014年5月19日 国立感染症研究所 研究班が行った調査で衝撃的な結果が…
歯科医院では、ミラーやピンセットなど医療器具から紙コップまでさまざまなモノが使われます。
特に歯科治療では、唾液や血液がよく器具に付着してしいます。
器具をキチンと洗浄・消毒・滅菌していないということは、飲食店で前のお客さんのモノを使うことよりもずっと汚くて、ずっとずっと危険なことなのです。
当院で念入りに行っている洗浄・消毒・滅菌などの衛生管理について、少しお話しさせていただきたいと思います。
消毒・滅菌専門スタッフ在籍
当院には、消毒・滅菌専門のスタッフが在籍しております。
普通の歯科医院はスタッフが診療のかたわら、消毒・滅菌を行っています。
そのため、診療スタッフがどんなに診療に忙しくしていても、清掃や消毒、滅菌がおろそかになるという心配はありません。
安心して治療をお受けください。
タービンの完全滅菌を実現した滅菌器【DAC Universal】
当院では最新型の歯科用オートクレーブ滅菌器「DAC Universal(ダック・ユニバーサル) 」(ドイツ製シロナ社)を導入しております。
現在多くの歯科医院で使用されているオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)では、歯を削るタービンの内部に入り込んだ血液や唾液の除去、そして滅菌を完全に行うことができません。
しかしこのDAC Universalでは、精製水を用い、器具の外部だけでなく、手では難しい内部の隅々まで洗浄し、完全に滅菌することができます。
高価なため、まだ日本では導入している歯科医院が少ないこの滅菌器、詳細はコチラ
オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)
歯科器具を高温・高圧の状態で 完全に滅菌(すべての細菌の死滅)する器械です。
タービン類は構造が複雑なため上記のDAC Universalを使用しますが、その他の器具にはDCデントクレーブ500Mを使用しています。
医療器具などには、さまざまな細菌やウィルスなどが付着し、院内感染につながることがあります。このため、これらの器具には適切な滅菌処理を行う必要があります。
滅菌処理にはいくつかの方法ありますが、医療業界においてオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)はその中でも最も代表的な方法です。
オートクレーブ滅菌では通常、2気圧の高圧の水蒸気によって温度を121℃に上昇させ、20分間この状態を保つことで細菌やウイルスの滅菌を行います。
高耐性細菌といわれている最近類も湿熱には弱く、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)で死滅します。
これにより、細菌やウィルスを死滅させることが可能です。
しかし120℃以上で変質する熱に弱いプラスチック器具は、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)を使用することができません。
また、複雑な構造の機器や器具は蒸気が入りにくく完全に滅菌されにくいという欠点もあります。(オートクレーブの性能によります。)
当院では性能の良い滅菌バッグ(高圧蒸気滅菌器)を使用して、このオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)滅菌のため使用する水は再利用していません。
毎回、新しい蒸留水を使い滅菌を行うため、水道水使用時と違い塩素やホコリなどの付着がなく清潔です。
また、滅菌バッグを使用することによりオートクレーブから器具を出した後も清潔な状態が続くようにしております。
滅菌バッグ
ミラーやピンセットなどの医療器具類は、滅菌パックに入れてオートクレーブに入れ滅菌をします。滅菌バッグには小さな繊維の隙間があり、その隙間を通ってオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)の蒸気が器具に達し、滅菌バッグ内部の治療器具が滅菌されます。
滅菌終了後には、バッグが密閉され、滅菌状態が保たれます。当院では、患者様の治療の直前にバッグの封を開けて、安全で清潔な器具を使用できるようにしています。
治療台の消毒
滅菌器などに入れることができないチェアや診療台は、患者様ごとに消毒剤で拭いて常に清潔に保っています。
診療用グローブ・紙コップ・エプロン
当院では、患者様ごとに新しい歯科用手袋(グローブ)を着用しています。
厚生労働省の一般歯科診療時の院内感染対策に係る指針では、一度患者に使用したグローブを装着したまま手洗いや消毒を行って次の患者の診療に移ることは行ってはならないと示されています。
これは、歯科衛生士や歯科助手も同様です。
しかし、少し古いデータにはなりますが、平成13・14年度の「歯科臨床現場における感染予防対策についての実態調査(嶋・藤原)」によると、グローブを患者様ごとに交換している歯科医院はわずかだったそうです。
グローブを「常時使用している」のが84.4%、「時々使用する」が14.6%、使用している人のうち、「患者ごとに交換する」は7.4%。残りは午前診が終わったら交換、破れたら交換、ということになります。
もちろんグローブを着用したまま手洗いをしたり消毒をしたりしているのかもしれませんが、それでは前の患者様の菌が残っている可能性があります。
患者様毎にグローブを替えるのは、手間でもあり、コストもかさみます。しかし、当院では患者様ごとにグローブを替え、必要があれば何度も交換して治療にあたっています。
ちなみに、当院には治療ユニットが11台あり、例えばお一人の患者様に麻酔を打って、待っている間に他の患者様を治療する、ということもあります。改めて最初の患者様のところに戻って治療を続けるときにも新しいグローブを使用するので、お一人当たり2,3組使うことも稀ではありません。
手袋は何十箱もストックを準備しており、サイズや用途に合わせて使い分けています。
100枚入りの箱ですが、一日に5箱以上使ってしまいます。
紙コップやエプロンも、もちろん患者様ごとに新しいものを使用しています。
最新の滅菌機器や大量のグローブなどの費用は現在の保健システムではカバーされておらず、患者様からいただく診療費に上乗せすることはできません。しかし、患者様の安全と安心のため、そして気持ちよく治療を受けて頂くため、当院では手間とコストを惜しまずに対策を行っています。
タービン(歯を削る器具)の滅菌
ヨーロッパ滅菌器滅菌器基準「クラスS」による歯を削る器具の滅菌
当院では歯科用タービン(歯を削る器具)の滅菌に、ヨーロッパの小型高圧蒸気滅菌器基準EN13060で定義される「クラスS」の規格をクリアーするDACユニバーサル2は、「DAC Universal(ダック・ユニバーサル2) 」(ドイツ製シロナ社)を導入しタービンおよびハンドピースの洗浄・滅菌処理しております。
2014年5月19日、日本の国立感染症研究所 研究班が行った調査の衝撃的な結果が新聞に掲載されました。
平成24年に日本歯科医師会会員を対象に実施されたアンケートでは、患者様ごとに歯を削る器具(タービン)の柄の部分を滅菌している歯科医院は全体の3割のみ。歯科医院によっては患者様のお口に入れた機器を、軽く洗ったりアルコール綿で拭く程度しかしていないということです。
関係者の間では、調査対象でなかったドリル部分も滅菌せずに使い回されているという指摘があるそうで、院内感染が懸念されています。
以下、2014年5月19日の読売新聞より引用。
歯削る機器 7割使い回し…感染研調査 滅菌せず院内感染懸念
歯を削る医療機器を滅菌処理せずに患者間で使い回している歯科医院が約7割に上る可能性のあることが、国立感染症研究所などの研究チームの調査でわかった。
この医療機器を介して他の治療を受けた人にウイルスや細菌に感染する恐れがある、と研究チームは患者ごとに清潔な機器と交換するよう呼びかけている。
調査対象としたのは、歯を削るドリルを取り付けた柄の部分。歯には直接触れないが、治療の際には口に入れるため、唾液や血液が付着しやすい。
使用後は、高温で滅菌処理した清潔な機器と鋼管することが、日本歯科医学会の診療指針で定められている。
調査は、特定の県の歯科医療機関3152施設に対して実施した。2014年1月までに891施設(28%)から回答を得た。
滅菌した機器に交換しているか聞いたところ、「患者ごとに必ず交換する」との回答は34%だった。一方、「交換していない」は17%、「時々交換する」は14%、「患者が何らかの感染症にかかっている時だけ交換する」は35%で、計66%で機器を適切に交換していなかった。
同じ調査は07年から13年まで2年ごとに計4回行っており、使い回しの割合は平均で71%だった。
研究チームの泉福英信・国立感染症研究所室長によると、多くの歯科では、人手や費用がかかるため、簡単な消毒や洗浄をしただけで繰り返し使っているとみられるという。
歯科関係者の間では、今回の調査対象ではなかったが、ドリル部分も動揺に滅菌せずに使い回しされているという指摘もある。
引用終わり
それでは、どうして滅菌が徹底されていないのでしょうか。その理由を、私なりに考え以下にまとめてみました。
- あくまで「指針」であり、法的に義務ではない
- 現行の健康保険制度では滅菌に対するコストが含まれていない
- タービンの滅菌には一般的に1時間程度かかる
- 滅菌中、そのタービンは使用出来ないので、タービンを余分に購入しなければならない
- 頻繁なタービンの滅菌は、内部部品の耐久性を低下させ寿命が短くなる
- 洗浄・注油・滅菌には人手が必要で、頻繁に行うと人件費を大幅に増加させる
- 「一般的な滅菌の機械(オートクレーブ)だけではタービン内を完璧に洗浄・滅菌できない、つまり完全滅菌は不可能」と考えられている
- 高性能の滅菌器を購入するのは手間であり、多額の費用がかかる。また、維持費もかかる
しかし、みなさんのお口の健康を守るという使命のある歯科医院にとって、滅菌は最も重要なテーマです。治療に使用した器具には、ヘルペス、ヒト免疫不全ウィルス、結核菌、髄膜炎菌、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、梅毒…といった、聞くだけでぞっとするようなウィルスが付着している可能性があるのです!
こういった心配を解消するため、当院では歯科用オートクレーブ滅菌器「DAC Universal2(ダック・ユニバーサル2) 」(ドイツ製シロナ社)を導入しております。
現在多くの歯科医院で使用されているオートクレーブでは、内部に入り込んだ血液や唾液の除去、そして滅菌を完全に行うことができないと言われています。
しかし、このDAC Universal2では精製水を用い、器具の外部だけでなく、手では難しい内部の隅々まで洗浄し、厳密な完全滅菌することができます。ドイツ製というだけあって、日本よりも厳しいヨーロッパ滅菌器基準「クラスS」に基づいています。
また、一般の滅菌器では洗浄、注油、滅菌の行程を行うと一時間以上かかるところを、この機器にタービンをセットしボタンを押すだけで、これらの工程が始まり17分程度で終了させてしまいます。
当院では、こういった時間や手間を短縮することにより、スタッフ一同が患者様のお話をお伺いしたり、丁寧に治療したり、という余裕ができるのは大きなメリットだと考えております。
この機器の導入には数百万円のコストがかかり、メンテナンス料も高いため導入している歯科医院はまだまだ少ないようですが、こういった対策を通して、皆様に健康、そして安心をお届けしたいと思っております。