骨粗鬆症と歯科治療の関係
骨粗鬆症と歯科治療の関係について、阿倍野区の西田辺えがしら歯科の歯の豆知識ページです。
骨の強度が低下する骨粗鬆症(こつそしょうしょう)。日本では、1,000万人を超える患者さんがいる病気で、男女比では圧倒的に女性の割合が多くなっています。70代では2人に1人が骨粗鬆症を発症しているといわれています。そんな骨粗鬆症は、歯科治療を受ける際に注意しなければならない点があるのをご存知でしょうか?
骨粗鬆症は骨の病気なので、一見すると歯の治療とは無関係に思えますが、特定のケースにおいては深刻なトラブルを引き起こしかねないため、適切な知識を学んでおくことが大切です。今回はそうした骨粗鬆症と歯科治療の関係について、阿倍野区の歯医者、西田辺えがしら歯科がわかりやすく
解説をします。
目次
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨の量(骨密度)が減少し、骨の質が低下(骨密度の低下)することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。
特に高齢者や閉経後の女性に多く見られます。
この病気は、自覚症状が乏しいため気づかれにくいですが、進行すると軽い転倒や衝撃でも骨折が起こりやすくなります。
骨粗鬆症の原因と症状
はじめに、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の原因と症状といった基本事項を確認しておきましょう。
骨粗鬆症の原因
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨の密度が減少し、脆くなる病気です。
主な原因は加齢によるホルモンバランスの変化であり、特に閉経後の女性はエストロゲンの分泌が減少することでリスクが高まります。
また、カルシウムやビタミンDの不足、運動不足、喫煙や過度な飲酒といった生活習慣も骨密度に影響を与え、骨粗鬆症の発症リスクを増加させます。
さらに、特定の薬剤(ステロイドなど)の長期使用も、骨粗鬆症の一因となることがあります。
骨粗鬆症の症状
骨粗鬆症は「沈黙の病気」とも呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。
しかし、進行すると骨が脆くなるため、軽微な衝撃や転倒でも骨折しやすくなります。特に、背骨や股関節、手首の骨折が多くみられます。
骨折が起こると、痛みや姿勢の変化、背中が曲がる(円背)などの症状が現れ、日常生活に大きな支障をきたします。
骨粗鬆症と歯科治療の関係
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の治療において、ビスホスホネート製剤(BP製剤)や抗RANKLモノクローナル抗体(デノスマブ)を服用している患者さんに対して、歯科治療では特に注意が必要です。
これらの薬剤は、骨の代謝を抑制することで骨密度を維持しますが、一方で、抜歯やインプラントなどの外科処置において「薬剤関連顎骨壊死」(MRONJ)というリスクが高まります。
MRONJは、顎骨が露出し、治癒しない状態が長期間続く病態で、痛みや腫れ、感染が生じる可能性があります。
特に、抜歯や歯周病の進行など、骨に直接関与する処置を行う際には、このリスクが高くなります。そのため、BP製剤やデノスマブを服用している患者さんには、歯科治療の前に必ず服用状況を確認し、必要に応じて主治医との連携が重要です。
MRONJへの対処法
ビスホスホネート製剤(BP製剤)や抗RANKLモノクローナル抗体(デノスマブ)を服用している患者さんへの対処法としては、まず、抜歯などの外科処置を行う前に、薬剤の服用期間や骨粗鬆症の治療状況をしっかり把握し、可能であれば薬剤の休薬期間を設けることが推奨されます。
また、口腔内の衛生管理を徹底し、むし歯や歯周病の予防に努めることも重要です。事前に十分な検討と準備を行うことで、外科処置に伴うリスクを最小限に抑えることが可能です。
歯科のパノラマ写真が骨粗鬆症の発見につながることもある?
上段では、骨粗鬆症が沈黙の病気で自覚しにくいことをお伝えしましたが、実は歯科のパノラマ撮影で病気の存在が明らかになるケースも少なからずあります。
もちろん、歯科のパノラマはあくまで患者さんの歯や歯槽骨などの異常を見つけるために撮影するものですが、骨全体の状態も大まかに把握できるため、1年に1回程度は定期検診で記録を残しておきたいところです。
まとめ
今回は、骨粗鬆症と歯科治療の関係について、阿倍野区の西田辺の歯医者、西田辺えがしら歯科が解説しました。
骨粗鬆症は骨が脆くなる病気で、特定の薬剤を服用している場合は、顎骨壊死のような合併症のリスクが生じるため、外科処置は慎重に進めていく必要があります。
そんな骨粗鬆症と歯科治療の関係について不安な点がある方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。
阿倍野区の西田辺の歯医者 西田辺えがしら歯科
IDIA国際口腔インプラント学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
歯科医師 院長 江頭伸行