小児・マタニティ治療のQ&A
当院で歯科における小児・マタニティの治療について、実際に患者さんから受けた質問をQ&A形式で記載しています。
Q:子どもの歯は虫歯になりやすいって本当ですか?
【ANSER】
乳歯は永久歯よりも虫歯になりやすいです。
子どもの歯である乳歯は、大人の歯である永久歯よりも未成熟です。石灰化が不十分で軟らかく、酸に対する抵抗力が低いことから、虫歯になりやすいです。
また、乳歯のエナメル質と象牙質は、永久歯の半分の厚みしかないため、一度、虫歯を発症してしまうと、あっという間に進行してしまう点にもご注意ください。
Q:歯磨きは何歳から始めるべきですか?
【ANSER】
最初の乳歯が生えた時から始めましょう。
最初の乳歯は、生後6ヶ月くらいから生え始めますので、そのころから歯磨きを始めるのが良いといえます。もちろん、生えたての時期はまだ歯ブラシでゴシゴシとブラッシングする必要はないのですが、”歯磨きに慣れる”ことが何よりも大切です。
Q:子どもは1日何回歯磨きすべきですか?
【ANSER】
毎食後、歯磨きするのが理想です。
歯磨きの回数は1日2回と決めている人も多いかと思いますが、本来は食事をするたびに行うのが理想です。
朝昼晩の食事はもちろん、間食をした際にもお口の中は汚れていますので、歯磨きするのが望ましいです。とくに虫歯のリスクが高いお子さまは毎食後、歯磨きするようにしましょう。
Q:子どもに歯磨き剤を使っても大丈夫ですか?
【ANSER】
基本的に問題はありません。
歯磨き剤には、フッ素が配合されているものが多く、虫歯予防に寄与する面が大きいです。
そのため、子どものブラッシングに歯磨き剤を使用することはメリットも大きいですが、お水をきちんと吐き出せることが大切です。
ブクブクうがいができて、ブラッシング後のお水も外に吐き出すことを理解しているのであれば、歯磨き剤を使用しても何ら問題はありません。
Q:フッ素は子どもの発育に悪くありませんか?
【ANSER】
適切な方法で使用する限り、害はありません。
虫歯予防では、いろいろな方法でフッ素を応用します。最もポピュラーなのがフッ素入り歯磨き剤ですね。フッ素が配合されたうがい液も市販されており、毎日のケアに活用されている方もいらっしゃることでしょう。
歯科医院で受けるフッ素塗布もその一つですが、高濃度のフッ素を使用することから、発育への悪影響を心配される方も少なくありませんが、いずれも“フッ素を身体の中に摂り込む行為ではない”点にご注意ください。
フッ素が作用するのは、あくまで口腔内に限られるため、発育に害が及ぶことはないのです。
ちなみに、フッ素入りの薬剤を習慣的に摂取すれば、発育に何らかの悪影響が及ぶこともあります。
Q:子どもも「酸蝕症」になりますか?
【ANSER】
子どもの方が酸蝕症になりやすいです。
酸蝕症(さんしょくしょう)とは、食品などに含まれる酸によって歯が溶ける病気です。
清涼飲料水などを頻繁に摂取したり、お酒をチビチビと飲んだりすることで発症しやすいです。細菌感染による歯質の溶解ではないので、歯に小さく穴が開くのではなく、1~複数本の歯が全体的に少しずつ溶けていきます。子どもの歯は大人の歯よりも軟らかいことから、酸蝕症のリスクも自ずと高くなります。
Q. 「感染の窓」が開く時期とは何ですか?
【ANSER】
1歳半から2歳半の虫歯菌に感染しやすい時期を意味します。
子どものお口の中は日々、大きく変化することから、虫歯のリスクも変動します。
乳歯がまだ1~2本しか生えていない時期は、比較的虫歯になりにくいですが、たくさんの乳歯が生えてくる1歳半から2歳半の1年間は、歯並びが複雑になり、汚れがたまりやすくなります。
その結果、虫歯菌への感染が成立してしまうのです。
これを専門的には「感染の窓」が開く時期と呼んでいます。
この時期に虫歯菌への感染を免れると、それ以降、虫歯のリスクが大きく減少することがわかっています。
Q:子どもの歯並びにすき間がたくさんありますが大丈夫でしょうか?
【ANSER】
子どもの歯並びにはすき間が多くなっています。
乳歯は全部で20本しか生えてきませんが、永久歯は親知らずを除くと、合計で28本生えてきます。
しかも、ほとんどの永久歯は乳歯よりも大きく、きれいな歯並びを獲得するには、それ相応のスペースが必要になります。
ですから、乳歯列期にすき間があることは、決して悪いことではないのです。
ただし、限度を超えたすき間がある場合は、先天的な歯の欠損などが疑われるため、一度歯科を受診することが勧められます。
Q:生まれた時から歯が生えているのですが問題はありますか?
【ANSER】
状態によっては治療が必要になることもあります。
生まれた時から生えている歯を「先天歯(せんてんし)」といいます。
本来であれば、乳歯は生後6ヶ月くらいから生え始めるのですが、それ以前に生えてくる先天歯は、舌の裏側を刺激して潰瘍を形成するなどの悪影響を及ぼすことがあります。
そうしたケースでは、先天歯を少し削ったり、場合によっては抜いたりすることで対処します。
とくに症状が現れていないのであれば、経過を見るだけで良いです。
Q:指しゃぶりは何歳まで許されますか?
【ANSER】
3歳になっても指しゃぶりしているのであれば要注意です。
指しゃぶりが続くと、歯並びに深刻な悪影響を及ぼすため、適切な時期にやめさせる必要があります。
乳歯が生えそろうのが2~3歳くらいなので、その時期を目安に指しゃぶりをやめさせるか判断しましょう。
Q:妊娠中も歯科治療を受けることができますか?
【ANSER】
安定期であれば問題なく受けられます。
妊娠初期や妊娠後期は、お腹の赤ちゃんへの影響も踏まえて、歯科治療は控えた方が良いです。
母子ともに安定している妊娠中期であれば、虫歯治療や歯周病治療も問題なく受けることができます。
Q:妊娠中は歯周病にかかりやすくなると聞きましたが本当ですか?
【ANSER】
本当です。
妊娠中は、ホルモンバランスの乱れから、唾液の分泌量が低下し、細菌の活動が活発になります。
しかも、女性ホルモンの代名詞ともいえるエストロゲンは、歯周病菌の大好物であり、「妊娠性歯肉炎(にんしんせいしにくえん)」という病気のリスクが大きく上昇します。