突然ですが、あなたは、5年後、10年後、20年後、どんな生活をしていたいですか?
多くの方が、「元気に楽しく、充実した生活を送っていきたい。」と思っているでしょう。
特に女性の方であれば「いつまでも綺麗でいたい。」「シワを作りたくない。」というような、見た目について気になることが多くあるでしょう。
そのためには体を動かしたり、運動をしたり、サプリメントを飲んだり、身体に良いものを食べたり、エステに行ったり、人と会ってお喋りしたり、と色々な方法があります。
実は、「歯」が「アンチエイジング」の大事な要素であるのをご存じでしょうか。
「それよりシワをなくす方が若く見えない?」と思われるかもしれませんが、その「顔のシワ」も、歯と大きな関係があります。
そもそも「アンチエイジング」とはなんでしょう?
「抗加齢」などと訳されますが、「ウェルエイジング」「ヘルシーエイジング」「ハッピーエイジング」「ワンダフルエイジング」とも言われています。
そして、日本アンチエイジング歯科学会の掲げる目標は、歯科医療からの①容姿管理、②生活管理、③寿命管理の三点。
つまり、「アンチエイジング」とは、ただ見た目を若くするだけでなく、「生活の質を上げ、楽しく充実した人生を送りながら、年を重ねていく」と言うことではないでしょうか。
歯とアンチエイジング
では、「歯」と「アンチエイジング」の関係についてお話しましょう。
ご存知のように歯の最も重要な機能は「噛む」ということです。
「噛む」ということは、ただ単に「物を食べる」ということ以上の効果を持っています。
詳しく説明すると長くなりますが、簡単にリストアップしただけでも下記のことが挙げられます。
①健康促進…バランスよく食べることができる
②胃腸の働きを促進する…唾液中の消化酵素の分泌が促され、胃腸への負担も和ぐ
③虫歯、歯周病、口臭の予防…唾液の抗菌作用によって口の中の清掃効果が高まる
④肥満防止…ゆっくり多く噛むと満腹感が得られ、食べ過ぎを防ぐ
⑤脳の働きを活発に…認知症の予防
⑥全身の体力の向上…全身に活力がみなぎり、体力が向上
⑦味覚の発達…味合うことで味覚が発達
⑧発音がはっきり…口のまわりの筋肉が発達し、言葉の発音がはっきり
⑨がんを予防…唾液中の酵素に発ガン性を抑制する効果
⑩シワを予防・小顔に…噛むことにより、顔の筋肉が発達
いかがでしょう?
老化を防止するだけでなく、若々しく元気に毎日を生活するための要素が多くあることをご理解いただけましたでしょうか。
特に、⑤については、東北大学が行った研究から、高齢者の歯の残存歯数と認知症の間に関連があることが明らかになっています。
この研究では、健康な方は平均14.9本の歯が残っていたのに対し、認知症の疑いのある方では残っている歯の数が9.4本、と明らかな差が認められたのです。
また、残っている歯が少ないほど、記憶や学習能力に関わる海馬や、思考や意志の機能に関わる前頭葉の容積などが少なくなっていた事がわかりました。
つまり、歯が多く無くなると、脳が刺激されなくなり、脳の働きに悪影響を与えてしまうという事が判明したのです。
歯と全身の健康
「メタボリックドミノ」という言葉をご存知でしょうか?
過食・偏食・運動不足といった生活習慣が、内臓脂肪の蓄積し肥満になり、高血圧、高脂血症(脂質代謝異常)、高血糖となり、その後、糖尿病の併発、さらに動脈硬化を伴い、多臓器への影響の結果、死に向かう、という疾病になっていく構造を説明したものです。
つまり、寝不足や食べ過ぎ・飲みすぎ、といった生活習慣の小さな乱れが、やがてはドミノ倒しのように様々な疾患を引き起こし、最終的に死に至る病気を引き起こすというものです。
その歯科バージョンとして、「欠損ドミノ」というものがあります(下図参照)。
欠損とは歯を失うことです。1本歯を失うと、ドミノのように他の歯がなくなっていく、という構造です。
虫歯や歯周病によって歯を1本失い、入れ歯やブリッジをする。
↓
周りの健康な歯に負担がかかり、複数の歯が失われる。
↓
噛み合わせが乱れ、さらに多くの歯が失われる。
↓
噛むことができなくなり、様々な全身疾患を招く。
インプラントとアンチエイジング
「噛む」、「噛める」ということの大切さは、ご理解いただけたかと思います。
詳しくは後述の章でご説明いたしますが、インプラントのメリットの一つに、「しっかり噛める」という点が挙げられます。
失った歯を補う方法には、入れ歯、ブリッジ、インプラントの3つがありますが、入れ歯では噛む力が30%、ブリッジでも60%に減少してしまいます。
一方、インプラント治療では90%まで噛む力を回復するため、ご自分の歯があった時のような強さで噛めることになるのです。
【治療法の比較】
入れ歯 | ブリッジ | インプラント | |
---|---|---|---|
噛む力 | 30% | 60% | 90% |
周囲の歯への優しさ | △ | △ | ◎ |
見た目の美しさ | ○または× | ○または× | ◎ |
耐久性 | × | △ | ◎ |
保険適用の有無 | ○または× | ○または× | × |
耐久年数 | 3~4年 | 7~8年 | 10年以上 |
30%の噛む力と90%の噛む力では、どちらの方がよりアンチエイジングにつながるかは、簡単にご想像して頂けるかと思います。
さらに、天然歯との見分けがつかない、という大きなメリットがあります。
入れ歯と自然な歯では、どちらの方が若く魅力的に見えるかは、一目瞭然ですよね。
しっかり噛めることにより、顔周りの筋肉も入れ歯より格段に鍛えられ、ほうれい線などのシワがなく、若々しい口元、小顔を保てる、というわけです。