詰め物・被せ物が取れた時のQ&A
当院で実際に患者さんから、詰め物・被せ物が取れた時に受けた質問をQ&A形式で記載しました。
Q:取れにくい詰め物・被せ物はありますか?
【ANSER】
セラミックの詰め物・被せ物は適合性が高く取れにくいです。
詰め物・被せ物は、素材によって使用できる接着剤が異なります。
また、歯質との適合性も素材によって大きく変わるため、取れにくい・虫歯が再発しにくい修復物を希望されるのであれば、セラミックがおすすめです。セラミックは、レジン歯や銀歯よりも精密につくることができます。
特別な接着剤も使えることから、詰め物・被せ物が取れにくくなります。
Q:メンテナンスを受けていれば詰め物・被せ物は取れませんか?
【ANSER】
セルフケアの状況によっては取れることもあります。
詰め物・被せ物を装着している歯は、もともと虫歯のリスクが高くなっています。
メンテナンスでプロフェッショナルケアを受けることはとても重要ですが、セルフケアも充実させなければ、虫歯の再発や修復物の破損が生じます。
ですから、修復物の寿命は、プロケアとセルフケアを両立させて初めて、延ばすことが可能となります。
Q:詰め物・被せ物を装着したのにどうして虫歯が再発するのですか?
【ANSER】
虫歯の根本的な原因が取り除かれていないからです。
虫歯治療は、あくまで“今ある病変”を取り除き、失った歯質を歯科材料で補うだけです。
虫歯になった根本的な原因を取り除かない限りは、再発リスクも残ります。
虫歯の原因は、「細菌」「歯質」「糖質」の3つからなります。
細菌は、歯質を溶かす虫歯菌を指し、お口の中の衛生状態によってその数も大きく変動します。歯質は、酸に対する抵抗力であり、フッ素によって強化することができます。
糖質は、虫歯菌のエネルギー源となる栄養素で、シュガーコントロールが重要となります。
いずれも生活習慣の見直しや定期検診の受診、セルフケアの充実によって改善することが可能です。
Q:使用する材料によって歯根が折れやすくなるのはなぜですか?
【ANSER】
歯質との柔軟性に違いがあるからです。
歯根破折が起こりやすいものとしては、メタルコアが挙げられます。
被せ物の土台となるコアを金属で製作したもので、当然ですが歯質よりも硬く、柔軟性が低いです。
そのため、強い力で噛むと、歯根に対してくさびを打ちこんだような圧力が加わり、割れてしまうことがあります。
ファイバーコアなら柔軟性が歯質に近いため、歯根破折のリスクが低くなっています。
Q:歯ぎしりをしていると詰め物・被せ物が取れるのではなぜですか?
【ANSER】
歯ぎしりによる圧力は100kg以上に及ぶことがあります。
私たちの顎はとても強く、体重と同じくらいの強さで食べ物を噛むことができます。
食事の際には、噛む力を厳密にコントロールしているだけでなく、歯と歯の間に食べ物が介在しているので、歯や歯周組織にかかる負担は軽減されています。
一方、歯ぎしりは無意識に行うものであり、噛む力はコントロールできません。
食べ物も介在していないので、詰め物・被せ物に多大な圧力がかかり、取れる・欠けるといったトラブルを引き起こすのです。
Q:銀歯とセラミックはどちらが取れにくいですか?
【ANSER】
セラミックの方が取れにくいです。
銀歯は、材料が安価で強度が高く、気軽に作ることができる被せ物ですが、歯質との適合性はセラミックほど高くありません。
被せ物を装着する際に使用するセメント・接着剤の劣化も比較的早く、セラミックよりは取れやすいといえます。
Q:取れた詰め物・被せ物を自分で付け直してはいけない理由とは?
【ANSER】
修復物の装着には専門的な知識・技術が必須だからです。
詰め物・被せ物が取れた時点で、歯はもうすでに汚染されています。
修復物をそのまま元の位置に戻すと、虫歯の再発リスクが大きく上昇します。
また、修復物が外れたということは、歯質との適合に何らかの問題が起こっていることを意味するため、そのまま元に戻してもあまり意味はありません。
詰め物・被せ物が取れた原因と突き止め、問題を解決した後に再装着、あるいは詰め物・被せ物の作り直しを行う必要があります。
Q:詰め物・被せ物が取れた場合どのくらいまで放置して大丈夫ですか?
【ANSER】
できるだけ早く対処することが望ましいです。
詰め物・被せ物は、取れてからすぐに深刻なトラブルが起こるわけではありません。
数日間、放置しても問題ないのですがが、できるだけ早く歯科を受診して適切な処置を受けるのが望ましいです。
詰め物・被せ物が取れると、傷口がむき出しになっているのと同じ状態なので、放置する時間が長ければ長いほど、虫歯の再発や残った歯質が破折するリスクが高まります。
Q:詰め物・被せ物が取れやすくなる食べ物はありますか?
【ANSER】
極端に硬い食べ物、粘着性の高い食べ物にご注意ください。
極端に硬い食べ物は、歯質や詰め物・被せ物を破損させるおそれがあります。
粘着性の高い食べ物は、虫歯を誘発することに加え、修復物の強度にも悪影響をあ耐えます。
Q:歯磨きしすぎると詰め物・被せ物が取れてしまいそうで不安です。
【ANSER】
適切な方法で歯磨きしている限りは、詰め物・被せ物に悪影響は及びません。
研磨剤が含まれた歯磨き粉で、毎日ゴシゴシと力強く磨いていると、歯や修復物が摩耗することがありますのでご注意ください。
適切な方法で歯磨きをするために、定期検診でブラッシング指導を受けることをおすすめします。
Q:取れた詰め物・被せ物は保管しておいた方がいいですか?
【ANSER】
歯科を受診する際には持参してください。
取れた詰め物・被せ物は、そのまま元の位置に戻せるとは限りませんが、そこにはたくさんの情報が含まれていますので、受診の際に持参するようにしてください。
再治療の際の参考になります。