インプラント治療の研修報告 2022.6

阿倍野区 歯医者 西田辺えがしら歯科

インプラント治療の研修を受けてきましたので報告書を記載していた。

2022年6月26日(日)に大阪国際会議場で行われました、私が所属している大阪インプラント研究会の例会・特別講演会に参加してきました。

特別講演の演者には、東北大学大学院歯学研究科 分子・再生歯科補綴学分野 准教授 山田将博先生、インプラント治療における「“かたち”と“硬さ”による組織再生の制御」との題での講演でした。

さすがに歯科における分子・再生の研究施設の研究結果なので、大いに参考になり、改善し、取り入れる余地があります。

大まかな内容としては、
1.インプラント治療において、インプラント埋入手術時には欠かせない骨補填材の研究。

インプラント埋入時にインプラント体の全周に歯槽骨と呼ばれる歯茎の骨が1mm以上は必要です。
単純にインプラント埋入のみの症例は少ないです。
当院でのインプラント埋入手術時における骨造成における骨補填材の使用は約8割の症例数に上ります。

現在、骨造成において自家骨(他部位の自分の骨)がゴールドスタンダードとなっています。
自家骨は、初期の骨の形成を促進したりしてとてもよいのですが経年的に吸収されなくなっていきます。
大きな欠損ある症例では自家骨以外に骨補填材による補助が必要です。

現在ある人工の骨補填材は、生体に吸収されにくいが骨になりにくい、ということです。
生体内における骨補填材の吸収性と欠損部の体積の保持には両立できない関係性があるのです。

現時点では、サイトランスという炭酸アパタイトを主成分の骨補填材が、填材が多少は吸収されるが体積保持に有効で骨も作られるとのデータでした。
骨誘導能(骨を作る能力)を持つ骨補填材の開発が次の課題のようです。

阿倍野区 歯医者 西田辺えがしら歯科 インプラント

2.骨との結合とインプラントの表面性状について

インプラント治療の早期の脱落などの失敗の原因としては、埋入部位の歯茎の骨質・骨量インプラントの長さ、喫煙、歯周疾患の状態、インプラントの表面性状が挙げられます。

次にインプラントの晩期(長期経過)における失敗の原因としては、インプラント体の表面性状、インプラント埋入本数の多さ、インプラント体の破折、インプラント上部冠(人工歯の形態)、リコールの間隔、他の歯の歯周病の状態、周囲骨組織や付着歯肉の量が挙げられます。

インプラント体の表面性状がインプラント治療の早期・晩期の失敗の要因の一つとなるようです。

表面正常とはインプラント体のネジの部分の形状です。

現在あるインプラントの表面は粗雑に骨がよく引っかかりやすいそんな表面性状をしていますが、顕微鏡レベルで見るとちょっとした表面性状の違いにより、骨との結合能に違いがあり、長期的な予後にも差が出てくると統計が出ていました。

ネジ表面のミクロサイズの陥没やミクロサイズの突起があり、骨芽細胞の骨形成能を活性化させたりし、インプラントと骨結合はこれらに依存する結果した。

インプラント体を作っているメーカーは世界にも数多くあり、どこのメーカーのインプラント体を使うかで、インプラントの寿命に差が出るということです。
当院で使用しているインプラントはこの講演で発表されたデータの中でも良い成績を出していました。

今後の研究内容についても発表がありとても興味深かったです。
それは「生体模倣チタンインプラント」と呼ばれており、インプラント体の表面に歯根膜様のものをコーティングさせることにより、インプラント埋入部位に存在する幹細胞に働きかけ、骨補補填材など細胞移植をしなくても、天然歯の周囲にあるものと同等の歯周組織をつくり再生させていくというものです。

インプラント周囲炎にも効果があるとされ、インプラント治療の予後を安定させ、インプラントの寿命が長くなるというものです。
今のところ、ips細胞や幹細胞による自分の歯の再生には、まだまだ時間はかかりそうですし、その治療費は1歯あたり何千万円もかかりそうです。

インプラント治療による欠損部の治療が、しばらくはベターな治療法のようです。

大阪インプラント研究会では年4回、今回のような講演会があります。
これらの定期的な講演の受講はインプラント治療や、その他の歯科治療において、とても参考になり、治療の質を上げるものです。

今後も阿倍野区 西田辺えがしら歯科は安心・安全で長持ちする治療をおこなうために、ブラシュアップしていきます。

阿倍野区 西田辺えがしら歯科
歯科医師 院長 江頭伸行

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