ストローマン社とノーベル・バイオケア社のインプラントの比較
インプラントは、歯を失ってしまったところに人工の歯根を埋め込み、自分の歯のようにしっかりと噛めるようになる治療です。
インプラントの寿命は口腔環境が健康であるかどうかで左右されますが、インプラント体はメーカーにより採用している技術に違いがあり、それによってもインプラントの寿命も左右されます。
インプラント治療で使用される製品について、皆さんはどのくらい知っていますか?
ここでは、日本国内でおもに使用されているインプラントの2大メーカーの比較について解説します。
世界的シェア度が高いのはストローマンとノーベル・バイオケア
インプラントにはさまざまな種類があり、それぞれ形状や特徴は異なりますが、3つのパーツからできているという点はどのメーカーでも一緒です。
「フィクスチャー」と呼ばれるインプラントの本体である顎骨に埋め込むネジのような部分、「上部構造(歯の部分)」と呼ばれる、人工の歯、そして、「アバットメント」と呼ばれる、フィクスチャーと上部構造をつなげるための部分です。
この3つのパーツについて、それぞれ違うメーカーのものを使用することはありません。
そのため、どのメーカーのものを使用して治療するかは、よい結果のためにも慎重に選ぶ必要があります。
世界的に多く使用されており、日本でも多く採用されているのが、ストローマンとノーベル・バイオケアのインプラント体です。
ストローマン インプラントの特徴
世界70ヶ国で約1300万本、500万人もの患者様にストローマン インプラントが使われており、インプラントメーカーではトップクラスです。
ストローマンは、を60年前にスイスの小さな研究所からスタートし「耳を傾け、研究し、改善し、役立てる」という存在意義を掲げ、インプラント治療の質の向上と患者様のQOL(生活の質)向上をより目指すため研究開発が継続して続けられています。
国際的非営利学術組織のITI(International Team for Implantology)というインプラント歯学の学術団体からのサポートを受け、学術的に検証された製品開発しているのも特徴です。
ちなみに、スイスのベルン大学でストローマン インプラントの臨床研究で511本のインプラント治療を行った結果、成功率が97%、10年後の生存率(98.8%)が報告もありました。
インプラント周囲炎発生率も1.8%と低く、長期的な安定性が証明されています。
現在、インプラントの寿命やトラブル、インプラント周囲炎に関係と言われているのがインプラント体の表面性状です。
ストローマン インプラントにはSLA(Sand-blasted Large-grit Acid-etched:エス エル エー)という表面性状です。
インプラント体の表面を250~500μmほどの粒子を吹き付けるサンドブラスト処理を行い、さらに酸処理を行って製作されています。
そして、近年、SLAの表面性状で超親水性(水分・血液がまとわりつきやすさ)を有するSLActive®(エス エル エー アクティブ)を開発しています。
これらの技術により、インプラント埋入後、最短4週間での骨への結合することができるようになりました。
インプラント埋入後、約6週でインプラントに補綴物(被せ物)を装着することが可能です。
さらにロキソリッドという技術も採用されています。
インプラント体の素材には通常、生体親和性の高い純チタンやチタン合金が使われています。
生体親和性高く骨と良く結合するチタンですが、実はインプラントの素材としては純チタンは強度不足なのです。
インプラント発売当初は、純チタンが使われていましたが、強度不足でインプラント体が折れたり、割れたり、ひびが入ったりするトラブルが発生しました。
強度を補うため純チタンではなくチタン合金が開発されていきました。
近年、歯科でジルコニウムという素材にも注目が集まっております。
このジルコニウム素材も生体親和性が高く骨との結合します。
硬度も高い性質のジルコニウムをチタンに混ぜ込むことにより、今までのチタンよりも120%強度がましたインプラント体を開発したのもストローマン社です。
これが「ロキソリッド」技術です。
当院では、患者様の安全・安心を第一に考えストローマン インプラント SLActive® ロキソリッドを主に使用して治療しています。
ノーベル・バイオケアの特徴
1965年にスウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマルク博士により、世界で初めて骨と結合するインプラントが歯科医療に導入されました。
ブローネマルク博士に協力した企業が、その後に大規模な治験を行い、長年にわたるさらなる研究を重ねて、ノーベル・バイオケア(設立時の名前はノーベルファルマ)社を設立しました。
そして、1981年にインプラントを世界で初めて製品化し、開発メーカーとして幅広く知られている会社です。
関連会社と販売代理店を通じて80か国以上の国で導入されています。
ノーベル・バイオケアのインプラント治療も患者様のQOL(生活の質)向上を目指しています。
世界で最も長期の臨床実績のブローネマルク インプラント システムをはじめ、革新的なインプラント体のデザインのノーベル アクティブや1997年に世界で最初のテーパード インプラントなど、様々な症例に幅広く適応可能なインプラント体を提供しています。
また、1998年には最初の傾斜埋入および抜歯即時埋入、All-on-4®治療(オール オン フォー)など骨の条件の悪い患者様への治療法を開発してきました。
現在では重要視されているインプラント体の表面性状は、無数の孔に硬組織と軟組織が絡み合い短期間でインプラントの表面およびその孔の中へと骨が形成されるタイユナイトという特殊な技術が使用されています。
ノーベル・バイオケアの特長として、古い製品に適応するパーツを、現在でも供給しつづけている点が挙げられます。
再治療やメンテナンスで部品が必要になった場合、とても安心です。
インプラントメーカーはこんなにある!
インプラントのシステムは、世界中で100種類以上あり、日本国内では30種類以上が使用されているといわれています。
日本国内で行われるインプラント治療は、基本的には厚生労働省で認可されたものが使用されています。
しかし、患者さまの同意があれば、歯科医師が個人で輸入をしたものの使用が認められているため、国内流通のない厚生労働省で認可されていないインプラントで治療をしている歯科医院も存在します。
日本国内で認可されており、おもに使用されているメーカーは、
・ストローマン
・ノーベル・バイオケア
・アストラテック
・ジンマー バイオメット(Zimmer Biomet)
・京セラ デンタル
・ジーシー(GC)
など、それぞれに違った特徴があり、それぞれの技術が製品の価格に添加されて治療費も違います。
まとめ
インプラントの寿命は口腔環境が健康であるかどうかで左右されます。
今回、お伝えしたようにインプラント体はメーカーにより採用している技術に違いがあり、それによってもインプラントの寿命も左右されます。
使用するメーカーによって手術方法に違いがあったり、患者様のインプラント治療時の歯茎や顎骨の状態に合うものであるかどうかなど、さまざまな選択基準があります。
どこのメーカーのインプラントでも同じではなく、それどれの特徴があるのでインプラント治療時は、どこのメーカーを使っているか?なども聞いて選択する様にしましょう。
何か心配事などございましたら、ぜひ一度当院にご相談ください。
阿倍野区の歯医者 西田辺えがしら歯科