歯が揺れて痛い原因と治療法
歯が揺れて痛い原因と治療法について、阿倍野区西田辺の歯医者、西田辺えがしら歯科の歯の豆知識ページです。
私たちの歯は、歯槽骨(しそうこつ)という顎の骨にしっかりと支えられているため、指や舌で圧力をかけたくらいでは動きません。
歯と歯槽骨の間には歯根膜というクッションのようなやわらかい組織が介在しているので、生理的な範囲での微細な動揺は起こりますが、グラグラと揺れることはないのです。
それにもかかわらず歯が揺れて痛い場合は、歯周組織に何らかの異常が生じています。
今回はそんな歯が揺れて痛い場合の原因と治療法を阿倍野区の歯医者、西田辺えがしら歯科が詳しく解説します。
歯が揺れて痛い原因としては、まずは歯周病が挙げられます。
目次
歯周病が原因の場合
歯周病は、歯茎や歯根膜、歯槽骨に炎症反応が起こる病気で、重症例では歯の動揺度が高くなるからです。
歯の動揺度とは
歯の動揺度とは、歯がグラグラと揺れ動く程度を表したもので、臨床では以下の「Miller の動揺度分類」が使われています。
【Miller の動揺度分類】
0度:生理的動揺(0.2mm以内)
1度:唇舌方向にわずかに動揺(0.2~1.0mm)
2度:唇舌方向に中等度、近遠心方向にわずかに動揺(1.0~2.0mm)
3度:唇舌、近遠心方向、歯軸の方向に動揺(2.0mm以上)
定期検診・メンテナンスを受けている人は、お馴染みにとなっている歯周組織検査。その中で行われる歯の動揺度検査は、この指標が用いられているのです。
この検査だけで歯周病の診断を下すことはできませんが、歯周病の進行度をある程度、推測することはできません。
なぜなら歯周組織の破壊が進むほど、歯の動揺度も高くなるからです。
歯周病で歯が揺れて痛い場合の治療法
歯が揺れて痛い原因が歯周病である場合は、歯周病治療を受ける必要があります。
細菌の温床となっている歯垢や歯石などを取り除き、正しい口腔ケア方法を身に付けなければなりません。
ただし、歯が揺れて痛い症例では、歯周病の基本治療が終わっても完治に至らないケースがほとんどといえます。なぜなら歯周病によって破壊された歯茎や骨は、自然治癒しないからです。そのため歯の動揺もある程度、残ってしまうことでしょう。
そこで有用なのは、歯周病で失った骨を回復できる歯周組織再生療法です。
エムドゲインやリグロスといった治療を施すことで、歯を支える組織の再生が見込めます。とはいえ、歯周組織再生療法も万能ではなく、適応できる症例も一部に限られることから、骨の欠損が残ったまま治療を終えることも珍しくはありません。
歯を十分に支えるだけの骨がないと判断された場合は、抜歯が適応されます。
歯周病は、早期発見・早期治療が重要
歯周病を「歯が揺れて痛い」という症状が出るまで放置することは、極めて危険です。
治療が複雑になるだけでなく、歯そのもの保存できなくなる可能性が高まるので、歯周病は早期発見・早期治療に努めましょう。
3~4ヵ月に1回くらいの頻度で定期検診を受けていれば、骨が破壊されるまで歯周病が進行する可能性はほぼゼロになります。
ケガが原因の場合
事故や転んだときなどに歯が揺れてしまった場合、以下のような治療をします。
歯を安定させるために、隣の歯とワイヤーや専用の材料などで歯を固定します。
そして、経過観察です。
軽い揺れなら、自然に治ることもあるのでしばらく様子を見ることがあります。
重度の場合、固定しても歯の揺れが収まらない場合は、抜歯になることもあります。
かみ合わせが原因の場合
かみ合わせが悪いと、特定の歯に強い力がかかって歯が揺れることがあります。
この場合、かみ合わせの調整を行い、歯がうまくかみ合うように歯を削り調整して、揺れをおさえます。
同時に固定も行う場合も有ります。
歯の根っこに問題がある場合
歯の根っこが折れたり、根っこに病気ができたりして歯が揺れることもあります。
感染根管治療と言い、歯の根っこの中で細菌が繁殖し、感染してしまった場合に、その感染部分を取り除き、再感染を防ぐための特別な消毒を行う治療です。
歯の根っこへの感染がかなり悪くなっている場合、抜歯して他の方法(インプラントやぶり、入れ歯など)で治療することもあります。
歯の固定の注意点
歯の固定は、揺れている歯を安定させるために行う治療で、根本的な解決にはなりません。
隣の健康な歯と揺れている歯をワイヤーや専用の接着剤で固定して、歯を動かないようにします。
この治療は、歯周病や外傷によって歯が不安定になっている場合に有効ですが、注意点もいくつかあります。
歯の固定は、歯を完全に治すための最終的な治療ではなく、あくまで一時的な処置です。
揺れている歯を安定させる間に、歯周病治療やかみ合わせの治療、歯の根っこの治療(感染根管治療)などを並行して進め、歯ぐきや骨の状態を改善する必要があります。
固定中は、硬い食べ物や固いお菓子を噛まないように気をつける必要があります。
無理に歯に負荷をかけると、固定している部分が外れたり、歯にダメージが加わることがあります。
固定が長期間にわたると逆効果の可能性 歯を長期間固定すると、歯の周りの骨や歯ぐきが弱くなる可能性があります。
また、歯の固定剤の周囲は清掃性が悪くなります。
そのため、固定期間中は定期的に歯科医師の診察を受けましょう。
歯の動揺が激しい場合は固定が難しいことがあります。
重ねて書きますが、歯の固定は、歯を守るための有効な方法ですが、根本的な原因の治療と併せて行うことがとても大切です。
まとめ
今回は、歯が揺れて痛い原因と治療法を阿倍野区の歯医者、西田辺えがしら歯科が解説しました。
歯が揺れて痛い主な原因は歯周病です。
しかも進行度の高い歯周病が疑われるため、歯がグラグラと動揺する人は、一刻も早く歯科を受診してください。
治療の開始が遅れると、歯の保存が難しくなってしまいます。
阿倍野区の西田辺の歯医者 西田辺えがしら歯科
IDIA国際口腔インプラント学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
歯科医師 院長 江頭伸行