朝起きると顎がだるい…それ、寝ている間の食いしばりかも

「朝、目が覚めると顎がだるい」「口を大きく開けにくい」。
そんな感覚がしばらく続いているなら、寝ている間の食いしばりが関わっているかもしれません。
大阪市阿倍野区、西田辺駅前にある西田辺えがしら歯科で院長 江頭です。
当院ホームページのコラム「歯の豆知識」では、日々の診療でよく寄せられるお口の疑問を、できるだけわかりやすい言葉でお届けしています。
睡眠中の食いしばりや歯ぎしりは、ご本人がほとんど自覚できないものです。
今回は朝の顎のだるさとの関係から、歯や顎への影響、歯医者でできる対策までを、大学の先生方による解説や研究報告をもとにまとめました。
目次
その顎のだるさ、寝ている間の食いしばりが原因かも
歯ぎしりと食いしばりは、専門的には「ブラキシズム」とまとめて呼ばれます。
ギリギリと音を立てて歯をこすり合わせるのが歯ぎしりで、音を立てずに上下の歯をギュッと噛みしめ続ける状態を食いしばりといいます。
噛む力の強さ(Kg)は、普段でも自分の体重くらいあるとされています。
寝ているときの歯ぎしりでは、その倍にあたる100キロほどの力が歯に加わることもあるそうです(参考文献1)。
リラックスしているとき、上下の歯は本来1〜2ミリほど離れています。
眠っている間にそれだけの力で噛みしめていれば、顎を動かす咬筋や側頭筋が疲れてしまうのも無理はありません。
起床時や夕方に感じる顎のだるさ、こわばりも、食いしばりのサインのひとつに挙げられています。

自分では気づきにくい、睡眠中の食いしばりのサイン
無意識のうちに起こるため、家族に指摘されて初めて気づく方も少なくありません。音の出にくい食いしばりとなると、なおさら見過ごされがちです。
次のような様子に心当たりがあれば、一度お口の状態を確かめてみてください。
- 起きたときや夕方に、顎のだるさや痛みがある
- 口が開きにくい
- 治療した詰め物や被せ物が、何度も取れたり壊れたりする
- 舌や頬の内側に、歯の跡がついている
- 歯がすり減り、かみ合う面の凸凹がなくなっている
- 歯と歯茎の境目が、えぐれたように削れている
- 顎の骨の内側などに、コブのようなふくらみがある
いずれも、日本大学松戸歯学部の小見山道教授が食いしばりによると考えられる症状として示しているものです(参考文献1)。
鏡を見てご自身で気づくこともあれば、定期検診で初めてわかることもあります。
放っておくとどうなる?歯や顎への影響
強い力が毎晩のようにかかると、影響は歯だけにとどまりません。
起こりやすいのは、歯のすり減りやヒビ、欠けです。
小さなひびが少しずつ広がり、最終的に歯が割れてしまうこともあります。
歯を失う原因として歯の破折が増えていることから、近年の歯科医療では、虫歯や歯周病の予防に加えて、歯にかかる「力のコントロール」も重視されるようになりました。
詰め物や被せ物、入れ歯、インプラントといった治療済みの部分が壊れる原因にもなります。
歯を支える歯茎や骨も無関係ではなく、負担が重なると歯周病の悪化につながります。
歯の神経が圧迫されて敏感になり、冷たいものがしみやすくなるケースもあるようです。
筋肉や関節への影響も見逃せません。
こめかみにある側頭筋が緊張すると、頭痛が起こることがあります。
顎の関節や咀嚼筋に負担がたまれば、顎の疲れや痛み、口の開けにくさといった顎関節症の症状が出てくることもあり、歯ぎしり・食いしばりは顎関節症のリスク因子のひとつとされています(参考文献1)。

食いしばりはなぜ起こる?ストレスや生活習慣との関係
睡眠中の歯ぎしり・食いしばりには、原因やしくみがまだ解明されていない部分が多く残っています。
それでも、眠りが浅くなっていくタイミングで起こりやすいことは、研究によってわかってきました。
ストレスや、寝る前のアルコール、カフェインといった睡眠を妨げる要因が影響している可能性も指摘されています。
日本顎関節学会の指針では、仕事の環境や人間関係、家庭環境の変化なども、食いしばりのきっかけになりうるものとして挙げられています。
昼間の過ごし方にも目を向けてみましょう。
パソコンやスマートフォンの操作、読書、車の運転など、何かに集中しているとき、上下の歯は軽く触れ合ったままになりがちです。
「歯列接触癖(TCH)」と呼ばれるこの状態は、力こそ弱いものの長く続くため、顎の負担になります。
以前の記事:歯が痛いのに虫歯じゃない?歯列接触癖(TCH)が原因かも
歯が触れていると気づいたら、そっと離す。
そうした意識を繰り返すことで日中の食いしばりの改善が期待でき、夜の食いしばりにもよい影響があるかもしれないと報告されています。
歯を守る二つの方法:ナイトガードとボトックス
睡眠中の食いしばりを根本から治す方法は、現在のところ確立されていません。
そのため歯科での対応は、歯や顎にかかる力を和らげ、お口や全身への影響をできるだけ小さくすることが中心になります(参考文献1)。
当院では、主に二つの方法をご用意しています。
ナイトガード(マウスピース)で歯を守る
もっとも一般的なのが、寝るときに装着するマウスピース「ナイトガード」です。歯型をもとに、その方のお口に合わせてお作りします。
食いしばりそのものを止める道具ではありません。
上下の歯の間でクッションの役割を果たし、歯や顎の関節を守ること、歯ぎしりの音を軽くすることが主な目的です。
一方で、いびきや無呼吸が増えたり、顎の位置が変わったりする可能性も報告されています(参考文献1)。
使い始めてからも定期的にお口の状態を確認し、必要に応じて調整していくことが大切です。

ボトックスで咬筋の緊張を和らげる
ボツリヌス製剤には、筋肉の過剰な緊張をゆるめる働きがあります。
食いしばりに関わる咬筋(エラのあたりの筋肉)に少量を注射し、噛みしめる力そのものに働きかける方法です。咀嚼筋への注射は、海外では顎関節症やブラキシズムなどにも用いられています。
ただし、咬筋への注射は国内で承認された使い方ではありません。
効果の現れ方や持続には個人差もあるため、当院では診察のうえで、期待できることとリスクの両方をご説明してから治療をご提案しています。
ナイトガードとボトックスは、組み合わせて行うこともできます。
どちらが合うかは、歯のすり減り方や筋肉の状態、生活のご様子をうかがいながら、一緒に考えていきましょう。

気になる方は西田辺えがしら歯科へ
朝の顎のだるさは、毎日のことだけに「こんなものだろう」と見過ごされがちです。
歯が割れたり詰め物が壊れたりしてからでは、治療が大がかりになることもあります。気づいた段階でご相談いただくことが、ご自身の歯を長く守る近道です。
家族に歯ぎしりを指摘された方や、詰め物がよく取れる方、エラまわりのこわばりが気になる方も、どうぞお気軽にお声がけください。
西田辺えがしら歯科では個室のカウンセリングルームでお悩みをじっくりうかがい、お一人おひとりに合った方法をご提案いたします。
参考文献
1. サンスターグループ「Mouth & Body Topics VOL.6『歯ぎしり・食いしばり』から考える全身の健康」2022年6月発行
2. 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第2版)」関連資料
阿倍野区の西田辺の歯医者 西田辺えがしら歯科
IDIA国際口腔インプラント学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
歯科医師 院長 江頭伸行


