歯周病治療のスケーリングとは
歯医者さんに通院していると、治療完了後に「定期的に歯のクリーニングに来てくださいね。」と勧められることが多いと思います。
クリーニングと一口に言っても、実際に歯科医院でおこなうクリーニングには『スケーリング』や『PMTC』『SRP』など、目的に応じてその種類も様々ですが歯周病治療の一つです。
今回は歯周病治療の歯のクリーニングの中でも特に皆様が受ける機会の多い『スケーリング』について、詳しくお話ししていきたいと思います。
『スケーリング』とは歯に付着した歯石を取り除くクリーニングの専門用語です。
「次回の処置はスケーリング」と聞けば、それはすなわち「次回は歯石取りをする」ということになります。
目次
1. 歯石は「歯周病菌のすみか」になりやすい
歯石とは簡単に説明すると、歯磨きで取り残したプラーク(歯垢)が唾液の成分によって石のように硬くなってしまったものです。
歯石の主成分はカルシウムやリン、マグネシウムといったミネラルで、そのほかに細菌や白血球の死骸なども含まれています。
実は、歯石自体が歯や歯茎に直接悪い影響を与えることはありません。
しかし歯石は軽石のように表面がザラザラし小さな凸凹があり、歯周病菌をはじめとする細菌が付着しやすくなります。
多孔性で細菌の住みかになりやすい
さらに歯周病菌は「酸素の少ない場所」を好む性質をもっています。
歯石によって歯の表面が覆われると、歯と歯の間や歯と歯茎の間にある小さなすき間の上に『蓋』が作られた状態となります。
つまり歯周病菌にとって都合の良い「酸素の少ない場所」がたくさん作られることになるのです。
2. 歯石は歯磨きでは除去できない
歯石を放置しておくと歯周病菌のすみかが増えてしまい、結果として歯周病の進行や悪化につながってしまいます。
しかし、柔らかいプラーク(歯垢)とは異なり、歯石は歯磨きで落とすことができません。
歯に付いたプラーク(歯垢)が歯石へと変化するのには、約2週間程度かかるといわれています。
できたばかりの歯石はまだそれほど硬くはないので、歯間ブラシやフロスなどで簡単にはがれることもあります。
しかしその後、歯石はますます硬さを増し、歯の裏側にこびりついた状態になっていきます。
こうなってしまうと、どんな清掃器具でも太刀打ちできなくなってしまうのです。
舌面に強固に付着した歯石
3. スケーリングで使用する器具:手用スケーラーと超音波スケーラー
歯の表面にこびりつくようにして固まった歯石を取るには、歯を傷つけずに歯石だけを削り落としていくほかありません。
そこで活躍するのが『スケーラー』呼ばれるスケーリング専用の器具です。
スケーラーは手用のスケーラーと、圧縮空気の力を利用したエアースケーラー、超音波の力を利用した超音波スケーラーの3種類あります。
手用スケーラーは鎌型ものや匙型のものなど様々な形態があり、歯石の状態や付着する部位によって使いわけます。
手用スケーラー
手用スケーラーは細かい部位の歯石除去には非常に最適ですが、歯や歯茎を傷つけずにきれいに歯石を取り除いていくには、熟練した技術が必要です。
エアースケーラーは圧縮空気を送り込むことによりスケーラーの刃先を振動させて、歯石を砕きます。
固まった歯石も歯や歯茎を傷めずに除去できます。
エアスケーラーによる歯石除去
超音波スケーラーも同じで超音波の振動を利用して、カチコチに固まった歯石を歯茎を傷めず、壊しながら取り除いていきます。
歯石に振動を与えるだけなので痛みもなく、また短時間で大きな歯石を取り除けるのが超音波スケーラーのメリットです。
超音波スケーラーによる歯石除去
4. スケーリングは痛い?
スケーリングは「歯茎から上」についた歯石を取り除く処置となります。
したがって基本的に痛みはありませんが、術者の腕に左右されることは否めません。
スケーリングは主に歯科衛生士がおこないますが、歯や歯茎にダメージを与えず、かつ痛みのないよう歯石を取り除くためには、それなりの鍛錬とスキルが必要となります。
しかしどんなに腕の良い歯科衛生士であっても、痛みを避けられないケースがあります。
それは歯石が長い間付着していたせいで歯茎に炎症を起こしている場合です。
炎症のある歯茎はほんの少しの刺激でも、痛みや出血を生じやすくなります。
また歯茎がやせて歯の根っこの一部が露出しているようなケースも、器具が触れたり、エアーや水にふれたりすると痛みを感じやすくなります。
これは『知覚過敏』と呼ばれる状態で、どうしても痛みやしみる症状がひどい場合には、麻酔を使いながら処置を行う場合もあります。
歯科衛生士によるスケーリング
5. スケーリングで歯茎がやせてしまうのは問題ない?
スケーリングをおこなった患者様が、数日たってから「歯石を取ってから歯茎がやせた感じがする」と訴えることがよくあります。
また「歯石を取ってから口の中がスース―して、冷たいものもしみる」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
しかし、これは決して歯や歯茎の状態が悪くなったわけではありません。
スケーリング後に歯茎がやせたように感じてしまうのは、歯石が取り除かれたことで歯周病で腫れいた歯茎が治まったからで、むしろこれは歯周病や歯茎にとっては良い兆候といえます。
また「スース―する感じ」というのは、歯と歯の間に長い間詰まっていたものが取り除かれたことで起こる違和感です。
しばらく気になるとは思いますが、これが歯茎の本来あるべき姿であることをご理解いただければと思います。
ただ歯茎が引き締まったことで歯茎の位置が下がってしまうと、「冷たいものがしみる」といった知覚過敏症状を起こしやすくなります。
これは一時的な症状であることもあれば、今後しばらくしみる症状が続く場合もあります。
もし症状が気になる場合は、知覚過敏に対する処置や知覚過敏用の歯磨剤を使うことで症状を和らげることができますので、次の来院時に担当医に相談してみるとよいでしょう。
知覚過敏用歯磨剤 システム センシティブ
4. 最後に…
この度はホームページをご覧頂きありがとうございます。
歯の豆知識ページの歯科治療において、皆様へ何かしらの参考やお役に立てればと思い作成させていただいております。
当院では安心してご来院頂けるように、お口の状況・治療内容など詳しく検査し、歯科カウンセラーがご説明した上で、極力、痛くない治療を進めています。
皆様と笑顔で楽しい毎日、そして何でも食べられる喜びを分かち合えるよう、スタッフ一同しっかりサポートさせて頂きます。
お口に関するお悩みやご質問などございましたら、お気軽にご相談ください。
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