矯正治療時の痛みの原因と装置について
阿倍野区の歯医者 西田辺えがしら歯科の「矯正治療時の痛みの原因と装置について」の歯の豆知識ページです。
乱れた歯並びを治すためには、歯列矯正を行うことで改善へと導きます。
この矯正治療は歯に矯正装置を装着して行いますが、痛みを伴う治療でもあります。
なぜ歯列矯正は痛みを伴うのでしょうか、今回はその原因と矯正装置についてご説明します。
目次
1.矯正治療方法と矯正装置の種類について
歯列矯正の方法として主なものに床矯正、ブラケット矯正、そしてマウスピース矯正があります。
それぞれ異なった矯正装置を着けて歯を動かし、歯並びを整えていきます。
1-1.床矯正(しょうきょうせい)
乳歯から永久歯に生え変わる時、顎が小さく永久歯の並ぶスペースが不足している症例に対し行われる治療法です。
取り外し式の装置を1日14時間以上装着し、1週間に1度ネジを巻いて装置を広げ、顎の骨の成長を促す方法です。
また矯正装置に頼るだけでなく、前歯を使って固いものをしっかりと噛んで顎を鍛えることも、床矯正の特徴です。
抜歯することがほとんどないこの矯正治療は、顎の骨の成長を促すことで永久歯が正しい位置に生え揃うことを目的としています。
永久歯が全て生え揃い、歯並びが綺麗に整ったあとは、リテーナーと呼ばれる保定装置を装着し、きれいに並んだ歯が後戻りしないようにします。
また永久歯が正しいスペースに生え揃ったものの、引き続き歯並びを整える必要がある場合は、ブラケット矯正に移行します。
1-2.ブラケット+ワイヤー矯正
最も一般的なこの矯正治療は、ほとんどの症例に対応できる治療法です。
歯の表面にブラケットと呼ばれる小さなボタンを着け、ワイヤーを通して少しずつ歯を動かしていきます。
この方法はどんな症例でも対応できる反面、虫歯になりやすいというデメリットがあります。
ワイヤーを通している部分はフロスが非常に通しにくく、歯と歯の間に汚れが溜まってしまいがちになります。
またブラケット部分にも汚れが付着しやすいことから、虫歯リスクが高まります。
矯正治療用のフロスを使い、ワンタフトブラシでブラケット部分を中心に丁寧に磨くことで口腔内を清潔にし、歯を虫歯から守ります。
このブラケットはメタル(金属)素材のものは非常に目立つことから、最近では目立ちにくいプラスチック素材やセラミック素材のものを選ぶ人が増えています。
費用はメタル素材のものよりも高くなります。
1-3.リンガルブラケット矯正
同じブラケットを使った矯正方法でも、歯の裏側にブラケットを装着して歯並びを整えるリンガル矯正があります。
リンガルとは舌という意味で、歯の裏側、つまり舌側にブラケットを装着するため、矯正治療を行っていることが見た目にほとんどわかりません。
この治療法は特に上顎前突(出っ歯)に効果が高い方法です。
1-4.マウスピース矯正
歯に固定する装置を使わず、取り外しができるマウスピースを使った歯列矯正です。代表的なマウスピース矯正として、インビザライン、アソアライナーがあります。
最近のマウスピース矯正は、透明度が高くマウスピースを装着していることがわからないため、周りに気づかれにくいことが大きな特徴です。
1日20時間以上、食事と歯みがきの時以外装着して歯並びを整えていきます。
なおマウスピース矯正による矯正治療は、症例が限られる場合があります。
2.矯正治療の痛みの原因とは?
先に説明したように、歯並びを整えるための矯正治療にはいくつか方法がありますが、いずれも矯正装置を装着して歯を少しずつ動かしながら歯並びを治していきます。
その際に感じる歯の痛みは、いくつかの原因があります。
2-1.歯が少しずつ動くことによる痛みが原因の場合
歯が動く原因のひとつは、矯正装置を装着することによる歯の移動によるものです。
ではなぜ矯正装置を着けると歯が動くのでしょうか。
まずその仕組みを知っていただきます。
本来、動くはずのない歯が動くのは、骨の代謝というものが大きく関係しています。
歯の根っこの周りには「歯根膜」という薄い膜があり、繊維で出来ています。
この歯根膜は物を噛んだ時の力を分散させるクッションの役割がありますが、矯正装置の力がかかると、この歯根膜が引っ張られます。
そして引っ張られた側には骨芽細胞と呼ばれる、骨を作る細胞ができるため新しい骨が作られます。反対に縮んだ側は血管が押しつぶされ、酸素が運べなくなります。
そこにマクロファージという細胞が作られますが、このマクロファージは炎症物質を作り出し、血管の中に眠っている破骨細胞を引き起こします。
この破骨細胞が骨を吸収していくことで、ゆっくりと歯が移動します。この骨の代謝の性質により歯が動くのです。
では歯が動くとき、なぜ痛みを感じるのでしょうか。
上記の仕組みにより歯が動くときに作られる物質「マクロファージ」ですが、このマクロファージには痛みを引き起こす物質が含まれていることから、歯が移動する際に痛みを感じるのです。
この痛みは矯正治療を行う人には必ずと言っていいほど起こり期間は、およそ1週間で落ち着くため、心配する必要はありません。
痛くてたまらない、という場合は痛み止めを飲んでも構いませんが、痛み止めの中には炎症を抑える成分が含まれており、歯が動きにくくなってしまうため、できるだけ痛み止めを飲まない方が良いでしょう。
2-2.矯正装置を着けることによる痛みが原因の場合
矯正治療には色々な方法があり、それに合わせて矯正装置にも様々な種類があります。
乳歯からの生え変わりの時、永久歯がきちんとスペースに収まるために顎の骨の成長を促す床矯正、歯の表面にブラケットと呼ばれる小さなボタンとワイヤーをつけて歯を動かすもっとも一般的なワイヤー矯正、そしてインビザラインやアソアライナーといった、マウスピースによる矯正方法などがあります。
そして、どの方法も多少なりとも痛みは伴います。
床矯正の場合は、初めて装置を着けた時や、歯にひっかける金属の部分が歯ぐきに当たって痛みを感じることがあります。
特に床矯正を始めたばかりの子どもの場合、装置を入れた時に痛みで泣いてしまう場合もあります。
慣れるまでは辛いかもしれませんので、保護者の方が励ましてあげるなど、精神的な協力も必要です。
またブラケットの場合は、唇の内側や頬の内側に矯正装置が当たることで、傷や口内炎になってしまうことがあります。
特に下の歯の矯正で歯の裏側にブラケットを着けた場合(リンガル矯正)、舌に装置が当たって傷や口内炎になることもあります。
この場合、矯正装置に特殊なワックスをつけることで、粘膜を保護します。
マウスピース矯正は、装着時に痛みを感じることは少ないようです。
しかし慣れないマウスピースを着けることで、舌を噛んでしまうことがあるので気を付けなければいけません。
2-3.食事のときに感じる痛みが原因の場合
歯列矯正を始めると歯が動くため、歯に痛みを感じます。
特に食事の際に噛んだ時、痛みを感じて辛い思いをする人は多いようです。
固いもの、繊維質のような噛みごたえのあるものなどは噛めないくらい強い痛みを感じて、せっかくの食事が苦痛に感じてしまうかもしれません。
床矯正とマウスピース矯正は取り外し式で、食事中は口の中に矯正装置はありませんが、歯が動いている痛みがある場合、食事のときにも痛みを感じることがあります。
特に初めて矯正装置を着けた時や矯正装置を新しく交換したときには歯が動くことで痛みを感じるため、食事が辛く感じるかもしれませんが、調理方法を工夫して対処してみましょう。
野菜はいつもより若干時間をかけて下茹でする、とろみをつけるなど調理法に工夫をすると食べやすくなります。野菜や鶏のささみなどを入れた雑炊などは栄養バランスも取れるためお勧めです。
麺類も食べやすいですが、ブラケットとワイヤー矯正の場合、ワイヤーの隙間に麺が挟まりやすいので、かえって食べにくいかもしれません。
この食事中の痛みは徐々に和らぎます。
痛いからといって食事を抜くことだけはしないようにして下さい。
2-4.抜歯による痛みが原因の場合
歯列矯正を行う際に、歯並びを整えるために必要な処置として小臼歯などの抜歯を行うことは比較的よくあります。
また親知らずが生えている場合、歯並びに何らかの影響がある場合や虫歯になっている場合にも抜歯の対象となります。
この抜歯による痛みが原因の場合もあり、抜歯当日から3,4日はズキズキと痛みを感じます。
また下顎の親知らずを抜いた場合、1週間ほど腫れや痛みを伴います。抜歯による痛みは徐々に回復しますが、痛みを感じるときは我慢せず痛み止めを飲むと良いでしょう。
傷口が回復するまでは歯みがきに注意し、口の中を清潔に保っておく必要があります。
2-5.傷や口内炎による痛みが原因の場合
先で少し触れたように、矯正装置が歯ぐきや内頬などの粘膜に当たることで傷となり、炎症を起こして口内炎などになることで痛みを感じます。
矯正装置を着けることで違和感を感じ、誤って舌や内頬を噛んでしまうことがあります。
またブラケットやワイヤーが外れて粘膜に当たることが原因の場合もあります。
傷になると痛みのため、装置を着けることに躊躇するかもしれません。
特に口内炎になってしまった場合、食事にも少なからず影響をするため、矯正治療が嫌になる人も多いでしょう。
傷や口内炎になってしまった場合はまず歯科医院を受診し、軟膏を塗ってもらうなどの処置を行うといいでしょう。
2-6.噛み合わせが安定せず、内頬を噛んでしまう痛みが原因の場合
歯列矯正を行うと歯が少しずつ動くため、噛み合わせにも変化が起きます。
このため今まで噛むことがなかった頬の内側を噛んでしまうこともしばしば起こります。
内頬は粘膜のため、噛んでしまうと傷になりやすく、口内炎になってしまうことがあります。噛み合わせが不安定なため、食事はゆっくりと行うようにしましょう。
3.痛みの経過や期間(どれくらいの日数が平均的か?)
矯正装置を装着して4時間程度後から違和感から始まり、痛く感じるようになっていきます。
大体は翌日が痛みのピークとなります。
歯を動かす方向や量によりますが、初めて装置を付けた時は平均で7日程度、ワイヤー交換や別の矯正装置にける時は平均で2-4日程度は続きます。
4.歯列矯正中の歯の痛みに対する痛み止めについて
歯列矯正の際に生じる痛みは、矯正治療を行う上ではよくあることです。
特に歯が動く痛みは、歯が矯正装置によってきちんと動いている証でもあり、日にちの経過とともに落ち着いてきます。
先に述べたとおり、歯の矯正治療中の痛み止め服用はかえって歯の動きを妨げることに繋がりかねないため、できれば1日1回程度の服用にとどめておきたいものです。
5.痛みと上手に付き合いながら、正しい噛み合わせと歯並びを整えましょう
乱れた歯並びは見た目だけの問題ではなく、噛み合わせにも不具合を生じさせるため、全身の健康にもかかわってきます。
歯列矯正は、歯を動かして歯並びとともに噛み合わせも整える大切な治療です。歯を動かすため多少なりとも痛みを伴いますが、日が経つにつれだんだん治まってきます。
痛みと上手に付き合いながら、きれいな歯並びと噛み合わせを整えていきましょう。
噛み合わせはとても大切です。
歯並びの悩みは噛み合わせにも大きく関係します。歯並びに関する悩みは西田辺えがしら歯科にご相談ください。
お口の中を診察させていただき、矯正治療が必要かどうか判断させていただきます。歯並びを整えて、健康で笑顔あふれる毎日を過ごせるよう、お手伝いさせていただきます。
最後に
この度はホームページをご覧頂きありがとうございます。
当院では、痛みを極力少ない治療を心掛け、新しい設備と技術を習得しております。また、安心してご来院頂けるように、お口の状況・治療内容など詳しくご説明した上で治療を進めていきます。
地域の皆様と笑顔で楽しい毎日、そして何でも食べられる喜びを分かち合えるよう、スタッフ一同しっかりサポートさせて頂きます。
お口に関するお悩みやご質問などございましたら、お気軽にご相談ください。
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