歯科衛生士ができること・できないこと(歯科衛生士の業務範囲について)
歯科医院には、いろいろな人が働いているので、誰がどのような資格を持っているのか気になる方も多いようです。
とくに「歯科衛生士」と呼ばれる職種には関心が持たれやすいです。
今回はそんな歯科衛生士がどんな職業なのかをわかりやすく解説します。
歯科医院のスタッフについて
歯科医院では、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科助手・受付といったスタッフが働いています。
このうちの「受付」は専任のスタッフがいる場合もあれば、歯科助手が兼務している場合もあります。
とはいえ、患者さまからしたら誰がどのような職種なのかはよくわからないことが多くあります。
同じようなユニフォームを着ていることも多く、歯科医師以外を見分けるのはなかなか難しいものです。
歯科衛生士は国家資格保有者です
歯科医院の中で国家資格を持っているのは、歯科医師と歯科衛生士です。
歯科助手には国家資格が存在していないので、歯科衛生士とは業務が大きく異なります。
歯科衛生士は3~4年制の専門学校や大学を卒業した上で国家試験に合格しなければ、その資格が与えられないのです。
一方、歯科助手は国家資格などの資格は必要なく、希望をすれば誰でもその職に就くことができます。
歯科衛生士ができること
歯科衛生士は歯科医師と同じ国家資格保有者なので、かなりの範囲の治療業務を行えそうなものですよね。
実際、歯科衛生士は臨床の現場でさまざまな業務を担っています。
1.予防処置
歯科衛生士は歯科医師ではないので、診断や歯を削ったり、抜いたりなど具体的な歯科治療は行えません。
実際、皆さんも歯科衛生士に歯を削られたりした経験はありませんよね。
だからといって歯科衛生士が皆さんのお口の中に一切手を触れることができないわけではないのです。
例えば、フッ化物の歯面塗布や歯のクリーニング、歯石を取り除くスケーリング、歯に詰め物をするなどは歯科衛生士でも行えます。
これらは病気の治療ではなく、病気を予防するための処置だからです。
歯を削る際と同じ器具を使うこともあるため、治療をしているように思われがちですが、先端に装着されているのはただのブラシですのでご安心ください。
現在、日本人の約8割以上が罹患している歯周病の治療や予防業務の主たる戦力となっています。
歯科医師の診療補助
歯科医師が歯を削っている時にバキュームで口腔内を吸引したり、セメントを練って歯科医師に手渡したりする姿をよく目にしますよね。
これは医科における医師と看護師の関係近いです。
歯科医師も診療を補助してくれる歯科衛生士がいなければ、治療をスムーズに進めるのが難しくなります。
歯科保健指導
歯科衛生士ができることとして、意外に知られていないのが「歯科保健指導」です。
虫歯や歯周病を予防するために、歯磨き指導はもちろんのこと、生活習慣の改善方法などもアドバイスします。
虫歯になりにくい食事の摂り方や食べ物を飲み込みやすくする方法などをわかりやすくレクチャーします。
とくに最近では、ご高齢の方への摂食・嚥下リハビリテーションが注目を集めています。
歯科衛生士ができないこと
虫歯治療や歯周外科治療、入れ歯作成・調整など、患者さまの歯を削ったり、歯茎をメスで切開したりするような処置はすべて行うことができません。
これは歯科医師と歯科衛生士の明確な違いです。
具体的には
・抜歯
・歯を削る
・歯茎を切る
・詰め物や被せ物の装着
・レントゲン撮影
・注射による麻酔(※)
※歯科衛生士は表面麻酔(塗る麻酔剤)には対応できますが、注射による麻酔は歯科医師が指示を出した場合や歯科医師の監督下でのみ許されます。
「臨床歯科麻酔認定歯科衛生士」の認定制度があり、麻酔の知識と技術を歯科医師が個別判断し、その上で歯科医師の監督下で、歯科衛生士へのを注射の麻酔を行われる場合があるようです。
ちなみに、国家資格がない歯科助手は、歯科衛生士の業務も行えません。
歯科助手が行えるのは、歯科医師の指示のもと治療のアシスタント、診療に使用する器具の準備、使用した器具の清掃、受付業務などに限られます。
まとめ
このように、歯科衛生士ができること・できないことは、歯科医師および歯科助手と比較するとわかりやすいです。
そんな歯科衛生士のお仕事についてさらに詳しく知りたいことがありましたら、診療の際にでもご質問ください。
その都度、わかりやすくご説明します。
阿倍野区 西田辺えがしら歯科
歯科医師 院長 江頭伸行