歯ぎしり、食いしばりを放置すると危険!
阿倍野区の西田辺えがしら歯科の、歯ぎしり、食いしばりを放置すると危険!についての歯の豆知識ページです。
お口に関する習癖には、いろいろな種類があります。
小さい頃は指しゃぶりや舌を前に突き出す癖などが現れやすく、歯並びを悪くする原因としても有名ですね。
大人になってからも続く口腔習癖といえば、歯ぎしり・食いしばりです。
これらは強いストレスがかかった時などに生じやすく、長年、習慣化している方も少なくないことでしょう。
今回はそんな歯ぎしり・食いしばりを放置するリスクについてわかりやすく解説します。
目次
歯ぎしりが危険な理由
成人男性による歯ぎしりでは、歯や歯周組織に対して50~60kg、場合によっては100kg近くの力がかかります。
普段の食事では噛む力は抑えられ、なおかつ歯と歯の間に食べ物が介在することから、歯や歯茎にそれほど大きな負担はかからないのですが、歯ぎしり・食いしばりは例外といえます。
そうした強い圧力が毎日かかり続けると、歯を始めとした周囲の組織のさまざまな悪影響をもたらします。
歯ぎしり・食いしばりによる悪影響
歯ぎしりや食いしばりを放置すると、次に挙げるような5つの悪影響が生じます。
歯が摩耗(=咬耗)する
歯ぎしり・食いしばりをしていると、歯が削れて行きます。
エナメル質は人体で最も硬い組織ですが、そのエナメル質同士をギリギリとこすり合わせれば、容易に摩耗が起こります。
専門的にはこれを咬耗(こうもう)と呼んでいます。
ですから、私たち歯科医師は、歯の咬合面を見ることで歯ぎしり・食いしばりの有無を判断できるのです。
知覚過敏が起こる
歯ぎしりによってエナメル質がすり減ると、歯の神経までの距離が近くなり、知覚過敏を起こしやすくなります。
冷たいもがしみる「象牙質知覚過敏症」は、治療が必要となることも多い厄介な病気です。
症状が軽度であれば、それほど問題はありません。
歯周病のリスクが上昇する
歯周病は細菌感染症であり、歯ぎしり・食いしばりと直接、関係はありません。
しかし、歯ぎしり・食いしばりは歯周病で弱った歯や歯茎に余計な負担をかけてしまい、歯が揺さぶられて、歯周病の進行を早め症状を悪化させます。
また、歯ぎしりは、咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)と呼ばれる歯周組織の病気の原因ともなります。
顎関節症を発症する
下の顎は顎関節で上の顎とつながっています。
歯ぎしりで下の顎を前後左右にギリギリと動かすと、顎関節(上の顎との連結部分)に過剰な負担がかかり、炎症や腫れ、痛みなどをもたらします。
その結果、口が開きにくくなったり、偏頭痛が生じたりするのが顎関節症です。
歯並び・噛み合わせが悪くなる
歯列に対して、過剰な咬合圧がかかり続けると、歯並びや噛み合わせが変化していきます。
当然ですがそれはお口の健康にとって悪い変化です。
すきっ歯になったり、見た目が悪くなることはもちろんのこと、そしゃく能率や清掃性の低下をもたらします。
歯ぎしり・食いしばりしている人のお口の特徴
下の画像は骨隆起といって顎の骨の一部がして隆起したものです。
普通の人にはありません。
これがお口の中にある人は要注意です。
歯ぎしりや食いしばりにより、強い咬合による圧力が持続的に加わることにより、顎骨がそれを支えるために骨が過成長した結果です。
癌や病気の一種ではないので心配は要りませんが、この隆起があると入れ歯になった時にその隆起が邪魔になり入れ歯の装着の痛みの原因になります。
また食事時に食物が当たりやすいのでキズなりやすく口内炎がよくできるようになります。
この骨隆起を治療するには外科的処置で顎の骨の切除という方法がありますが一般的にはそこまで行う方は少なく少ないようです。
ちなみに、歯ぎしりや食いしばりをしなくなったり、歯が喪失して無くなれば、骨隆起も自然喪失します。
歯ぎしり・食いしばりの治療方法
現在、歯ぎしり、食いしばりを行うメカニズムは解明されていません。
歯ぎしりは、睡眠中に何かしら要因で交感神経が優勢になる(精神が高ぶる)と、歯ぎしりを行い副交感神経に働きかけ、精神的にリラックスな状態にしようとすることでおこる可能性が考えられています。
つまり、歯ぎしりは歯は顎の問題ではなく、いくつかの要因で脳が引き起こしておいる可能性が高いです。
いくつかの要因とは
- ストレス
- 噛み合わせが悪い
- 遺伝
- 喫煙
- 薬物(カフェイン・アルコール・薬の副作用)
- 睡眠障害からの影響
ですので、原因やメカニズムが解明されていないので本本的な治療法はありません。
対処療法にはなりますが、マウスピースを用いたスプリント療法で改善するのが一般的です。
就寝前にナイトガードと呼ばれる装置を装着して、歯と歯が接触するのを防ぎます。
そうすることで、マウスピースがクッションとなり、歯の咬耗や顎関節症のリスクを低減できます。
もう1つの方法は、ボトックス治療です。
ボツリヌス(ボトックス)は正式名ボツリヌストキシン。
これを筋肉に注射を行うことで、顎の筋肉の動きを弱めることで、歯ぎしり、食いしばりしていても問題が起こらないようになります。
まとめ
今回は、歯ぎしり・食いしばりを放置するリスクについて解説しました。
普段、何気なく行っている歯ぎしりでも、そのまま放置すると健康に深刻な悪影響を及ぼすことがありますので十分にご注意ください。
そんな歯ぎしり・食いしばりの症状にお悩みの方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。
当院ではマウスピースを用いたスプリント療法やボトックス治療を行い、歯ぎしり・食いしばりの治療に対応しております。
阿倍野区 西田辺えがしら歯科
歯科医師 院長 江頭伸行