親知らずは必ず抜いた方が良いの?
「親知らずは必ず抜いた方が良いの?」、阿倍野区の歯医者 西田辺えがしら歯科の歯の豆知識ページです。
親知らずは、上下で最大4本生えてくる永久歯です。
歯茎や顎の腫れ、痛みをもたらすことが多い親知らずは“いつかは抜かなければならないもの”と思われがちですが、そうではないケースもあります。
今回はそんな親知らずを抜いた方が良いケースと抜かなくても良いケースについてわかりやすく解説します。
目次
親知らずとは?
親知らずは、お口のトラブル・メイカーになりやすく、余分に生えてくる歯・邪魔な歯と思われる傾向があります。
実際は、親知らずも立派な永久歯のひとつであり、正確には「第三大臼歯」という名前が付けられています。
ただ、最後に生えてくる永久歯ということもあって、歯茎のスペース不足を起こしやすいのが難点です。
近年、食生活の変化から日本人の顎が小さくなっている傾向があると統計がでています。
最後に生えてくる親知らずが、生えてくるスペースが不足し、その結果、斜めや真横を向いていたり、歯茎の中に完全に埋まったりしているのです。
親知らずは、そうした異常な生え方、歯の埋伏の仕方が原因で、さまざまなトラブルを引き起こします。
抜いた方が良い親知らずの特徴や基準
親知らずを抜くかどうかは、歯科医師と相談して決めることが大切です。
親知らずを抜くべきかどうかの判断基準はいくつかあり、以下のような場合では抜歯の必要性が高いと考えられます。
・親知らずが歯茎に埋もれていて、虫歯や歯周病になりやすい。
・親知らずが斜めや横向きに生えており、他の歯にぶつかっている。
・親知らずが周りの歯を押して、歯並びが悪くなる。
・親知らずが腫れや痛みを引き起こしている。
一方、親知らずがまっすぐ生えていて、他の歯に問題を起こしていない場合は、抜歯の必要はありません。
ただし、親知らずは虫歯や歯周病になりやすいため、定期的に歯科検診を受けることが大切です。
親知らずを抜くかどうかは、歯科医師と相談して、それぞれの状況に応じて最適な判断をすることが大切です。
親知らずが虫歯・歯周病になっている
親知らずの虫歯は、比較的軽度で生え方も正常であれば通常の虫歯治療を行うこともありますが、そうでないケースは抜歯が適応されます。
その他の永久歯と同じように時間をかけて虫歯治療をしても、すぐまた再発してしまうからです。
歯周病も同様です。
「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼ばれる親知らずの歯周病は、完治させることが難しく、抜歯適応となることが多いです。
手前の歯を圧迫している
斜めや真横を向いている親知らずは、手前の歯を圧迫し、歯根を吸収させることがあります。そのまま放置すると、手前の歯が細菌に感染したり、歯の神経が死んだりするため、親知らずを抜歯して対応します。
全体の歯並び・噛み合わせを悪くしている
親知らずによって全体の歯並びや噛み合わせが悪くなっている場合も抜歯が適応されやすいです。
とくに歯列矯正を始める際には、あらかじめ親知らずを抜くことが多いです。
抜かなくても良い親知らずの特徴
次に挙げるような親知らずは、急いで抜歯することはありません。
正常に生えている
真っすぐ正常に生えていて、清掃性も高い親知らずは、抜歯をする必要性はありません。
そのまま保存するのが良いです。
とりわけ噛み合わせに参加している親知らずは、貴重な永久歯のひとつとして大切に使っていくべきです。
完全に埋まっていてトラブルを起こしていない
歯茎の中に完全に埋まっている親知らずは、今現在、トラブルを起こしていない、あるいは今後も周囲に悪影響を及ぼすリスクが低いのであれば、抜歯をする必要はありません。
親知らずの抜歯は侵襲性が高いことから、問題がないケースは現状を維持した方が賢明といえます。
ブリッジの支台歯や移植歯として活用できる
上述したように、親知らずも立派な天然歯のひとつです。
将来、何らかの理由で歯を失った際には、ブリッジを被せる支台歯や欠損部へ移植する歯として活用できる場合があります。
そうしたケースを見越して、親知らずの保存に努めることもあります。
しかし近年、歯の移植に成功率や、耐久年数が短いなど、予後不良やトラブルが多いのが実情です。
インプラント治療の方が移植手術時の痛みや移植の成功率、耐久年数の成績は良いようです。
まとめ
このように、親知らずは“いつか必ず抜かなければならないもの”というわけではありません。
正常に生えていたり、ブリッジの支台歯として活用できたりする親知らずは、抜かずに保存した方が良いといえます。
ただし、抜歯の要否はケースによって大きく異なることから、気になる方はまず精密検査を受けましょう。
検査を行うことによって、親知らずを抜くべきか・残すべきかを決めることができます。
阿倍野区の歯医者 西田辺えがしら歯科
歯科医師 院長 江頭伸行