歯周病と虫歯の違い
歯周病と虫歯の違いについて、阿倍野区の歯医者 西田辺えがしら歯科の歯の豆知識ページです。
「歯周病」と「虫歯」は、すべての人に発症リスクがあるお口の病気です。
口腔の2大疾患として取り上げられることが多く、どちらも細菌感染症であることから、似ている部分も多そうですよね。
もしかしたら歯周病と虫歯を混同してしまっている人もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、歯周病と虫歯の違いについて、阿倍野区の西田辺えがしら歯科がわかりやすく解説をします。
目次
原因となる細菌の違い
歯周病と虫歯は細菌感染症なので、原因菌が存在しています。いわゆる歯周病菌と虫歯菌ですね。
それぞれたくさんの種類があって、異なる役割を果たしているのですが、皆さんがそのすべてを知る必要はありません。
例えば歯周病菌であればP.g(ピージー)菌、虫歯菌であればミュータンス菌を知っていれば十分です。
P.g菌(歯周病菌)の特徴
P.g菌は、酸素を嫌う細菌です。そのためP.g菌は、酸素が行き届かないような深い歯周ポケットを形成して、自分が住みやすい環境を整えていきます。
そこで血液に含まれる鉄分やタンパク質をエサにして、生命活動を営みます。つまり、歯周病菌は糖質ではなく、タンパク質を好む細菌で、虫歯菌のように歯を溶かすことはありません。
その代わりに歯茎や顎の骨を破壊していくのです。また、歯周病菌はどちらかというと酸性の環境よりもアルカリ性の環境を好むという特徴も見られます。
ミュータンス菌(虫歯菌)の特徴
ミュータンス菌は、歯の表面に形成された歯垢や歯石を住処として繁殖する細菌です。
皆さんもご存知のように糖質が大好きで、代謝の副産物として酸が生じて歯を溶かします。歯周病菌とは異なり、酸性環境でその働きが活発化します。
症状の違い
歯周病と虫歯とでは、症状にも大きな違いが見られます。
歯周病の症状
歯周病は、歯を支えている歯茎や歯根膜、歯槽骨が破壊されていく病気なので、歯そのものの健康が害されることはありません。歯茎が腫れる、ブラッシング時に出血する、歯茎・顎骨が下がる、歯がグラグラするなどの症状が見られます。
虫歯の症状
虫歯の症状は、歯質の溶解です。虫歯菌が産生した酸によって、エナメル質や象牙質が溶かされていきます。
その過程で冷たいものや甘いものがしみる、ジンジンという自発痛が生じる、歯の神経が死ぬ、といった症状も見られることでしょう。
治療方法の違い
歯周病と虫歯はどちらも細菌感染症ですが、治療方法はまったく異なります。
歯周病の治療法
歯周病の症状は、「細菌の数を減らす」という方法でしか改善できないのが現状です。
病変をドリルで削ったり、特定の薬剤で細菌を殺したりすることができないのです。
そのため歯周病の治療では基本的にクリーニングやスケーリング、ブラッシング指導など継続的に行っていくことになります。
虫歯の治療法
虫歯は、感染している歯質をドリルで削ることで完治が望めます。進行した虫歯では、歯の神経を抜く処置や根管内の清掃が必要となりますが、病変を完全に取り除ければその時点で治療は終わります。
合併症の違い
歯周病と虫歯とでは、合併症のリスクにも違いが見られます。
歯周病の合併症
歯周病は、細菌が全身を巡ることで、心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病・認知症・誤嚥性肺炎といった合併症リスクが上昇します。
虫歯の合併症
虫歯を放置していると、顎骨骨髄炎・上顎洞炎・蜂窩織炎(ほうかしきえん)といった病気を発症することがあります。
歯周病よりはやや狭い範囲で合併症リスクが上昇します。
まとめ
今回は、歯周病と虫歯の違いについて、阿倍野区の西田辺えがしら歯科が解説しました。歯周病と虫歯は、似ているようでまったく違う病気なので混同しないように注意しましょう。どちらもすべての人に発症するリスクがあるため、予防に努めることが大切です。
阿倍野区の西田辺の歯医者 西田辺えがしら歯科
IDIA国際口腔インプラント学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
歯科医師 院長 江頭伸行