脳科学者 茂木先生による「リーダー教育論」
先日、脳科学者の茂木健一郎先生の講演を聞く機会がありました。
保育園・幼稚園・小中学生の保護者向けの講演会で、テーマは「偏差値教育が日本をダメにする。真のリーダー教育とは?」。
偏差値で大学受験、というのが当たり前の環境で育ってきた私としては、テーマから衝撃的です。お話の内容を少し紹介させていただきます。
現在の日本は国際的な競争力が低下してきている。
その原因は、日本の教育が、偏差値をベースに子供の評価や学校入学試験を行っていること。
文科省により定められた教育規定が強いため、学校では無意味な教育も多く行わなくてはならない状態になっている。
その為、ユニークで独創性のある考え方を身に着けていくのは現在の日本では困難である。ちなみに他の国には「偏差値」という概念はなく、日本固有のものである。
つまり、画一的なペーパー試験だけで評価していては本当に優秀な人材は選抜できない。学力軽視ではないが画一的なペーパーテストで学力を見ることが、多様化した現代国際社会の学力観にそぐわないとのこと。(人に選抜されることに強いアレルギーを感じている人が多く、それが日本人の偏差値志向の源泉となっている。)
人が人を選抜すれば、恣意性(原理原則に基づくのでなく、自分の気の向くままにものごとを決めてしまう状態)は入ってくる可能性はあるものの、社会の変化には即座に対応でき強い。
しかしペーパー試験だけで選ぶということになると、変化への対応はどうしても遅れることになる。
米グーグル(本社)の社員選抜基準についての話にもなった。
現在のグーグルにおける採用基準では大学を卒業していることはそれほど重要視されておらず、非大卒社員は14%に達しているという。
同社が必要としている能力は、高度な認識能力や協調性を伴ったリーダーシップ、知的謙虚さなど。
協調性を伴ったリーダーシップや知的謙虚さなどを重視しているということは、新しい知見に対する柔軟な姿勢を重視している。
(もっともグーグルほどの会社であれば、世界から頭脳が集まってくる状況であり、学歴など取るに足りない問題なのかもしれない)
東大卒業生は日本グーグル(現地支社)では社員に採用されるが、本社ではされない。
しかし、中国の最上位の大学からは、本社採用されている。この点から見ても日本は国際的な競争で負けている。
グーグルの様な選抜基準をそのまま日本に応用することは難しいかもしれないが、変化のスピードが激しい現代の国際社会においては、参考とすべき点は多いのではないか。
ちなみに米国では今月、日本の大学入試センター試験に相当する試験の一つである、SATの改革が発表された(米国では大学入試の共通ペーパー試験は単一ではなく複数存在している)。
より深く分析し、問題を絞り込む能力を重視するように内容が変更されている。
例文の中から引用して解答理由を説明させたり、文脈によって意味が変わる単語を重視し、総合的な文章の読解力などを問うような内容になっているという。
ペーパーテストで学力を見ることが、多様化した現代の学力観にそぐわないという事である。
最近は日本でも、AO入試(アドミッションズ・オフィス入試:出願者自身の人物像を学校側の求める学生像(アドミッション・ポリシー)と照らし合わせて合否を決める入試方法)始まり、東大の推薦入試開始など、選抜システムの変更が進み始めている。
これは日本社会が国際社会の変化に追いつけず、方向性を見失っていることが起因しており、官僚や文科省もそれに気づき教育方針の変更をしてきている。
保護者からは色々な質問が出ていました。
・日本人の性格として、「自己主張や自己表現が下手。逆に、それが奥ゆかしく、日本人の美徳にもなり得る」という点があるが?
⇒人前で恥ずかしがらずに話せ、自分の考えをはっきり言える大人に育てていくべき。
・どう自己成長させるべきか?
⇒「自分に無茶ブリ」をしてみる。たとえば、ハーバード大学に行って授業に潜り込み、受講する
etc。また、子供にさせるときには、出来てもできなくても褒めることが大切。
・どのような環境が教育に適切か?
⇒教育の環境は重要で、高校生以上は外国留学させたり、日本人だけが持つ価値観とは違う価値観に直接触れることが今後の人生観や社会性に影響する。
教育は、すぐに結果が出るものではなく、正解が決まっているものではなく、インターネットの影響で情報が溢れる今、果たしてどれが自分の将来、子どもたちの将来に大切なのかを見極めるのが難しくなっています。
しかし、脳科学的な側面からこういった話を聞くと説得力がありますね。
日本の将来のため、今の子供達には国際社会に通用するような人材に育ってほしいものですね。
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院長 江頭