
歯周病や虫歯が「菌血症」の原因になる?
歯周病や虫歯が「菌血症」の原因になる?について、阿倍野区の西田辺えがしら歯科の歯の豆知識ページです。
皆さんは「菌血症(きんけつしょう)」という症状をご存知でしょうか?
「血液」と「細菌」の文字が名前に入っているので、とても重篤な疾患のように思えますが、実は歯周病や虫歯といった身近な病気が原因になることもあります。
今回はそんな菌血症と口腔疾患の関連について、阿倍野区の歯医者、西田辺えがしら歯科がわかりやすく解説をします。
そもそも菌血症とは?
私たちの血液は本来、無菌です。
無菌の血液に何らかの理由で細菌が入り込んだ状態を「菌血症」といいます。
菌血症の段階では、すぐに深刻な症状が現れるわけではありませんが、重症化すると「敗血症(はいけつしょう)」へと進展して、発熱や頻脈、意識障害などをもたらします。
ちなみに敗血症は、細菌が血流に乗って全身を巡っている状態なので、専門の医療機関での早急な治療が求められます。
口腔疾患と菌血症の関係
進行した歯周病では、歯茎の血管に歯周病菌が入り込んで、さまざまな全身疾患を誘発することが広く知られています。
これ自体がもうすでに菌血症を発症していることを意味します。本来は無菌である血液に、歯周病菌が存在していること自体、異常なのです。
口腔の2大疾患のひとつである虫歯も菌血症の原因になりえます。
例えば、虫歯を治療せずに放置していると、根管にまで感染が広がって、歯の根っこの先に膿の塊が形成されます。
専門的には根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)と呼ばれる病気で、そこから周囲の血管に細菌が入り込んで、菌血症を引き起こすこともあるのです。
虫歯の場合は、菌血症から敗血症へと移行し、感染性心内膜炎を誘発するリスクもあります。
歯磨きが原因で菌血症になることも?
ここまでの解説で、歯周病や虫歯が菌血症の原因なることはご理解いただけたかと思います。
それに加えて毎日何気なく行っている歯磨きも菌血症の原因になり得ることを知っておいてください。
適切な方法で歯磨きをしている限り、菌血症を誘発することはあり得ませんが、硬い歯ブラシでゴシゴシとブラッシングして、歯茎から血が出ているような場合は注意が必要です。
私たちのお口の中には300~400種類の細菌が生息しているため、歯磨きの度に歯茎から出血していると、その一部が血管内に入り込んでも何ら不思議ではありません。
もちろん、歯周病が進行しているケースでは、標準的なブラッシング圧でも歯茎からの出血が認められますが、そもそもその状態は異常なので早急に歯周病治療を受けるようにしてください。
歯周病にかかっていないにも関わらず、ブラッシング圧で歯茎から出血する場合は、適切なブラッシング法を歯科医院で学ぶ必要があります。
そのままの習慣で歯磨きを続けていると、菌血症だけではなく、歯の摩耗が亢進して知覚過敏に悩まされたり、虫歯リスクが大きく上昇したりするため、今日からでも改めた方が良いです。
まとめ
今回は、歯周病や虫歯が原因で発症することがある「菌血症」について、阿倍野区の歯医者、西田辺えがしら歯科が解説しました。
歯周病や虫歯、不適切なブラッシングによって菌血症になることはそれほど多くはありませんが、少なからずリスクを伴うことは知っておきましょう。
今現在、歯周病や虫歯にかかっている人は、できるだけ早く歯科治療を受けて、歯磨きの方法に不適切な点がある場合は、定期検診でブラッシング指導を受けましょう。
菌血症や敗血症などを発症した場合は、歯科ではなく内科を受診て、適切な治療を受けてください。
阿倍野区の西田辺の歯医者 西田辺えがしら歯科
IDIA国際口腔インプラント学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
歯科医師 院長 江頭伸行
関連記事