歯磨き粉と歯磨きジェルの違い
阿倍野区の歯医者 西田辺えがしら歯科の歯磨き粉と歯磨きジェルの違いについての歯の豆知識ページです。
かつての歯磨き剤といえば、チューブに入った白い歯磨き粉(ペースト)が一般的でした。
しかし近年は歯磨き剤の性状も、ジェルタイプや液体タイプなどバラエティ豊かになっています。
ただ種類が多くなってくると、どのタイプの歯磨き剤を選ぶべきかお悩みの方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、歯磨き粉と歯磨きジェルの違いや選び方などについて詳しくご紹介したいと思います。
目次
1. 歯磨き粉と歯磨きジェルは『成分』が大きく異なる
歯磨き粉はある程度硬さがある白いペースト状であるのに対し、歯磨きジェルは透明でやわらかいのが特徴です。
この色の違いには、発泡剤と研磨剤の2つの成分が関係します。
つまり、歯磨き粉と歯磨きジェルの成分の違いを簡単にいうならば、
・『研磨剤』と『発泡剤』が含まれるもの=歯磨き粉
・『研磨剤』と『発泡剤』が含まれないもの=歯磨きジェル
とご理解していただければよいでしょう。
では『研磨剤』と『発泡剤』にはどのような働きがあるのか、以下に詳しくご説明していきます。
研磨剤(清掃剤)
歯の表面についた歯垢(プラーク)や着色汚れを細かい研磨剤の粒子で落としやすくする働きがあります。
主な成分に
・炭酸カルシウム
・リン酸水素カルシウム
・無水ケイ酸
などがあり、歯磨き剤の成分表示では『清掃剤』という部分に記載されています。
汚れを取りやすくする働きの一方で、研磨剤は粒子によって歯や歯ぐきを傷つけてしまうことが懸念されます。
しかし近年は粒子が非常に細かく、歯や歯ぐきにも優しい「低研磨性」の歯磨き剤も多く販売されています。
発泡剤
歯磨き剤を泡立て、お口の中に歯磨き剤の成分をいきわたらせ、歯垢やプラークなどの汚れを落ちやすくすることが発泡剤の役割です。
しかし、この泡立ちは、すぐにうがいしたくなるので、磨く時間が短くなったりして、かえって汚れ落ちが悪くなることが指摘されています。
また発泡剤として一般的に配合されている『ラウリル硫酸ナトリウム』という物質は、口の中の粘膜を保護するムチンの働きを弱めてしまうことがわかっています。
そのため口腔乾燥症など、口の中が乾きやすいという方などには発泡剤の入った歯磨き剤はあまりお勧めできません。
以上、歯磨き剤と歯磨きジェルの成分の違いをご理解していただけたうえで、次に双方の使用目的についてご説明していきましょう。
2. 虫歯予防・歯周病予防には『歯磨きジェル』の方がおすすめ(利点)
歯磨きジェルには、発泡剤、研磨剤が含まれないので「歯や歯ぐきに優しい歯磨き剤」として注目されています。
また、歯磨きジェルは性状がやわらかいため、歯磨き剤の成分が歯にまとわりつきやすく、歯の細かい間にまで入っていきます。
虫歯や歯周病の原因となる歯の汚れやプラークは、歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスの機械的な力(こする力)でしか取り除くことができません。
つまり汚れと落とすのが目標ならば、あえて歯磨き剤を使用する必要はないのです。
それでは歯磨き剤に何を期待するのかといえば、そこに配合されている薬用成分の効果です。
虫歯予防に効果的なフッ素(フッ化物)や歯周病の殺菌成分、炎症を抑える成分など、現在の歯磨き粉や歯磨きジェルには実に様々な薬用成分が配合されています。
おすすめの歯磨きジェル
これらの成分を口全体に行き渡らせ、歯や歯ぐきに密着させられる点において、歯磨きジェルの使用は非常に有効といえるでしょう。
歯磨きジェルはその他に、以下のような方にお勧めできる歯磨き剤です。
☆小さなお子さま
歯や歯ぐきが弱く、粘膜もデリケートなお子さまには刺激の少ない歯磨きジェルを使用しましょう。
子供用の歯磨きジェルはフレーバーの種類も豊富なため、歯磨き嫌いのお子さまにもお勧めです。
☆電動歯ブラシをお使いの方
電動歯ブラシで歯磨き粉を使用すると、研磨剤で歯を削りすぎてしまうほか、過度な泡立ちによって飛沫が飛び散って周囲を汚してしまう恐れや泡立ちが多いと全体を磨かないうちに早くうがいしたくなることがあります。
したがって電動歯ブラシをお使いの方は研磨剤、発泡剤無配合の歯磨きジェルや液体歯磨きを使用しましょう。
3.歯磨き粉を使用する場合は、選び方や使用方法に注意する(欠点)
歯磨きジェルの良いところを挙げてしまうと、歯磨き粉は良くないものと思われてしまうかもしれませんが、歯磨き粉には歯磨き粉の良さがあります。
先ほど述べた歯磨きジェルにも実は「着色汚れが落ちにくい」という弱点があります。
特にコーヒーや紅茶などが大好きで日常的に飲んでいる方は、ステイン(着色汚れ)がつきやすくなるため歯の黄ばみが大きな悩みとなります。
このように歯の汚れや黄ばみできるだけ防ぎたい場合は、研磨剤の配合された歯磨き粉のほうがその予防に効果的です。
ただ市販の歯磨き粉の中には粒子が大きく、歯や歯ぐきにダメージを与えてしまうものもあるので注意しましょう。
歯磨き粉を使用する場合は粒子の細かい『低研磨性』のものや、※着色汚れを浮かせて落とす成分が配合された歯磨き粉などがお勧めです。
【※着色汚れを浮かせて落とす成分】
・ポリリン酸ナトリウム
・ピロリン酸ナトリウム
・ポリエチレングリコール(ヤニ汚れ) など
また歯磨き粉の使用は週に1,2回程度のスペシャルケアにするなど、使用回数を工夫するのも良いでしょう。
4.最後に…
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阿倍野区 西田辺えがしら歯科
歯科医師 院長 江頭伸行