歯の治療で何回も通う理由
歯の治療で何回も通う理由について、の阿倍野区の歯医者 西田辺えがしら歯科の歯の豆知識ページです。
風邪で内科を受診した際には、簡単な検査と診断を受け、処方箋を出してもらうことで診療が終わりますが、歯科治療となると、複数回の通院が必要となることが多いです。
そのため、なぜ歯の治療では何回も通わなければならないのか、疑問に思っている方も多いことでしょう。
今回は歯科への通院が複数回になる理由についてわかりやすく解説します。
目次
歯科の病気は薬で治すことができない?
虫歯や歯周病といった歯科の病気は、基本的に薬で治すことができません。
時間をかけて歯を削ったり、歯石を除去したりしなければ、症状の改善が見込めないのです。
これは投薬で症状の改善が見込める内科との大きな違いといえます。
間隔が必要な処置が多い
例えば、根管治療は数ヶ月に及ぶことも珍しくありませんが、これは間隔をあけて処置を施さなければならないからです。
1回の処置で根管内の細菌を完全に取り除くことは不可能であり、自ずと通院も複数回に及びます。
それは一般的な虫歯治療も同様です。
軽度の虫歯であれば、細菌に侵された歯質を削ってコンポジットレジンを充填すれば治療を完結することができますが、中等度から重度の虫歯になると話は変わります。
虫歯の進行段階に応じた通院回数
◎軽度の虫歯(C1)
エナメル質に限局している軽度の虫歯は、治療が即日終わることも珍しくありません。
この治療は一回で終わり、多くて1~2回程度の通院で済みます。
◎中等度の虫歯(C2)
象牙質にまで大きく溶かされている虫歯では、歯を削った後に詰め物や被せ物を製作・装着しなければなりません。
歯型取りをして模型を作り、詰め物・被せ物を製作するというプロセスが加わるため、軽度の虫歯よりも通院回数が多くなります。
一般的には3~4回の通院が必要になります。
◎重度の虫歯(C3~C4)
歯の神経まで侵された虫歯では、感染歯質の除去だけではなく、抜髄処置や根管治療なども必要となります。
その上で被せ物を作らなければならないため、通院期間は少なくとも1~2ヶ月、根管治療に時間がかかる場合は2~3ヶ月に及ぶことも珍しくありません。
複数の歯を同時に治療するデメリット
虫歯が複数の歯に認められる場合は、1歯1歯、順を追って治療していくのが原則です。
複数の歯を同時に治療すると、全体の噛み合わせに異常をきたしたり、個々の歯の処置が不十分になったりする恐れがあります。
虫歯というのは単純な病気ではなく、個々の歯や歯列全体の状態を見ながら段階を踏んで進めていかなければならないのです。
健康保険のルールについて
健康保険で治療を受ける場合は、一定のルールに則って処置を進めていく必要があります。
例えば、歯石取りを一度で完結してもらえず、2回に分けられたことを不思議に感じた経験がある方もいらっしゃるかもしれませんね。
これは保険のルールで決められていることであり、歯科医院側が無理に引き延ばしているわけではないのです。
健康保険は日本全国の歯科医院での共通のルールです。
治療効果のエビデンスをもとに、中央社会保険医療協議会という厚生労働省の諮問機関で健康保険制度や診療報酬などを審議してルールをつくっています。
若い先生や熟練した先生、高齢の先生でも、一定の効果を上げられるようになっているようです。
そうした健康保険のルールは虫歯治療や歯周病治療にも課せられており、複数回の通院が必要となってしまうのです。
もしルールどうりしていなかった場合、歯科医師は治療費の返還や処罰を受けることになります。
このように、早く治療するとスピード違反となったり、一度に数多く治療してしまうと濃厚診療となって監査がはいったり、呼び出を受けたりすることがあります。
健康保険での治療は決められたルールどうりに治療しなくてはなりません。
まとめ
今回は、歯の治療で何回も通院しなければならない理由について解説しました。
歯科の治療はかなり特殊であり、内科の治療と比較すると疑問に思う点や不安に感じる点が多くなるかと思いますが、今回解説したような事情があることを知っていただけたら幸いです。
そうした歯科治療への疑問がある方は、いつでも当院までご相談ください。
当院ではそうした歯科ならではの事情も含めて、治療説明をていねいに行うよう努めております。
阿倍野区の歯医者 西田辺えがしら歯科
歯科医師 院長 江頭伸行