虫歯予防とフッ素の関係
虫歯予防とフッ素の関係について、阿倍野区の歯医者 西田辺えがしら歯科の歯の豆知識ページです。
虫歯予防にフッ素が効果的であることは皆さんもよくご存知かと思います。
薬局やドラッグストアに並んでいる歯磨き粉のほとんどにはフッ素が配合されていますし、皆さんもそれを使用していることでしょう。
とはいえ、フッ素がどのようなメカニズムで虫歯予防に寄与するのかは、よくわかっていないというのが本音ではないでしょうか。
そこで今回は、虫歯予防とフッ素の関係について、阿倍野区の西田辺えがしら歯科がわかりやすく解説をします。
目次
そもそもフッ素とは?
フッ素とは、カルシウムやナトリウムと同じ「ミネラル」の一種です。
自然界にも普通に存在している物質であり、私たちはフッ素を日常的に摂取しているといっても間違いではないのです。
とくに海藻や魚介類、お茶の葉にはフッ素が豊富に含まれています。そんなミネラルの一種がなぜ虫歯予防に役立つのか?
フッ素の歴史
1930年代にアメリカのコロラド州で、自然にフッ素が多く含まれる水を飲んで育った人々が、虫歯になりにくいことが発見され、この現象は「コロラド斑」と呼ばれました。そして、科学者たちは、これはフッ素の影響であることを突き止めました。
1945年代、アメリカのミシガン州グランドラピッズ市で、世界で初めて市の水道水にフッ素を添加する試験が行われ、フッ素が虫歯予防に有効であることが証明されました。
1950年代、アメリカを中心に水道水へのフッ素添加が広がり始め、他の国々でも同様の試みが行われました。
また、アメリカではフッ素配合歯磨剤も薬局やドラックストアで売られるようになり、家庭での虫歯予防がより手軽になりました。
1960年代以降は世界保健機関(WHO)や歯科大学などの研究機関がフッ素の虫歯予防効果を認め、フッ素添加水やフッ素配合歯磨剤の利用が国際的に広まりました。
日本を含む、多くの国々が虫歯予防としてフッ素添加を推進しました。
現代、フッ素の利用は水道水、歯磨剤、フッ素洗口剤、フッ素塗布など多岐にわたり虫歯予防に貢献しています。
日本では、他の国々とは違い、水道水を飲み水として使用している観点から、水道水へのフッ素の添加は見送られています。
フッ素の虫歯予防効果は多くの研究によって支持されており、その使用は世界中で広く認められていますが、適切な量を守ることが重要であり、あとで書くように過剰摂取による副作用にも注意が必要です。
フッ素による3つの虫歯予防効果
フッ素には、次に挙げるような虫歯予防効果が期待できます。
効果1:歯の再石灰化の促進
私たちの歯は、酸性の刺激によって脱灰(だっかい)というカルシウムやリン酸が溶け出す現象が起こります。
それをもとに戻すことを再石灰化(さいせっかいか)と呼び、フッ素にはその作用を促進することが分かっているのです。
効果2:歯質の強化
歯の再石灰化が起こる際、近くにフッ素が存在しているとリン酸やカルシウムと一緒にフッ素も歯質へと取り込まれます。
そこで生じる「フルオロアパタイト」という結晶構造が酸への成功力を高めることから、歯質の強化へとつながるのです。
ちなみに、フッ素が取り込まれない結晶構造を「ハイドロキシアパタイト」といいます。
効果3:虫歯菌の働きを弱める
フッ素には、虫歯菌の働きを弱めて、酸の産生を抑える作用も期待できます。
フッ素濃度と虫歯予防効果の関係
フッ素による虫歯予防は、濃度によって効果に違いが見られます。
例えば、市販の歯磨き粉には、1,500ppm(1.5mg/gまたは0.15%)までのフッ素を配合されていることが許されていて、その上限値に近い製品の方が虫歯予防効果も高くなっているのです。
つまり、フッ素濃度が9,000ppmのジェルを使用できる歯科医院のフッ素塗布は、市販のフッ素入り歯磨き粉よりも極めて高い虫歯予防効果が期待できます。それだけに3~4ヵ月に1回くらいの頻度で、歯科医院でのフッ素塗布を受けていきたいものです。
ちなみに虫歯予防の先進国のスウェーデンでは、虫歯リスクの高いと診断された人は50.000ppm(0.5mg/gまたは0.5%)のフッ素配合の歯磨剤を使用しています。
フッ素は安全?
上述したように、フッ素は食品にも含まれているミネラルの一種なので、身体に悪いということはありません。
ただ、どんな栄養素にも共通していることですが、過剰に摂取すると健康に害が及びます。
フッ素の過剰な摂取は急性中毒を引き起こす危険性があるため、注意が必要といえるでしょう。
だからといって、虫歯予防にフッ素を活用することを控える必要は全くありません。
なぜなら虫歯予防ではフッ素を体内に“摂取”するのではなく、歯面に作用させるだけだからです。
フッ素塗布では、高濃度のフッ素ジェルを使用することから、健康に不安を感じるかもしれませんが、その点もご安心ください。
フッ素塗布を行うのは、口腔の専門家である歯科医師や歯科衛生士であり、安全性を十分に確保した上で施術します。
発がん性は?
フッ素の発がん性については、長年にわたり多くの研究が行われてきました
一部の動物実験では、高濃度のフッ素摂取ががんのリスクを増加させる可能性が示唆されましたが、これらの実験で使用されたフッ素濃度は、人間が日常的に摂取する量をはるかに超えるものでした。
大規模な疫学研究では、フッ素添加水を使用する地域とそうでない地域の間で、がん発生率に有意な差がないことを示しています。
国際的な評価としては世界保健機関(WHO)、アメリカ環境保護庁(EPA)、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)などの主要な公衆衛生機関は、適切な量のフッ素添加は安全であり、発がん性のリスクは無いと評価しており安全といえるでしょう。
まとめ
今回は、虫歯予防とフッ素の関係について、阿倍野区の歯医者の西田辺えがしら歯科が解説しました。
フッ素は自然界に存在するミネラルの一種で、歯に対しては「歯の再石灰化の促進」「歯質の強化」「虫歯菌の活動を抑制」する効果が期待できます。そのメカニズムは科学的にも証明されており、WHOも虫歯予防にフッ素を活用する必要性を強調しています。
そんなフッ素による虫歯予防効果についてもっと詳しく知りたい、フッ素塗布を受けたい、という方はいつでもお気軽に当院までご連絡ください。
阿倍野区の西田辺の歯医者 西田辺えがしら歯科
IDIA国際口腔インプラント学会 認定医
日本口腔インプラント学会 専修医
歯科医師 院長 江頭伸行