キシリトールガムの良し悪し
「キシリトールが歯の健康に良い!」というのは、ガムの広告などでもうおなじみですよね。
でも、歯によいからといって、むやみにキシリトールガムを噛む、というのも考えものです。
歯磨き代わりにキシリトールガムを噛むのは間違っていますし、スーパーやコンビニで売られているキシリトール入りガムには注意が必要です。
実は、歯科医院で売っているキシリトール100%のガムに対して、スーパーなどで売っているガムは、キシリトールの割合が3分の1?半分だけなのです!
しかも、虫歯の原因となる砂糖や水あめが入っているものもあり、逆効果になってしまいます。
キシリトールの効果的な摂り方については、後ほど説明させていただきますので、まずはキシリトールとは何なのかをみてみましょう。
<キシリトールとは?>
キシリトールとは、ギリシャ語の「木」を意味する言葉で、原料はシラカバやカシの木です。
植物の細胞膜にあるキシランという成分を分解すると、キシロースという糖が得られ、これを一部変化させて得られた糖アルコールが、キシリトールです。
多くの野菜や果物にも少量ですが含まれています。
日本では平成9年に厚生省が食品添加物として正式に指定しました。
「キシリトールガム」が、十数年ほど前に、一気にポピュラーになったのを覚えている方も多いのではないでしょうか。
キシリトールには、次のような特徴があります。
・常温ではショ糖の甘味度と同じです。
・解けるときに熱を奪います。そのため噛むと口の中に冷涼感があります。
・虫歯菌の栄養源にはならない(非う蝕性があります。)
口の中に糖分があると、細菌の働きで酸が作られてPhが低下し、その酸によって歯が溶けて虫歯になりますが、キシリトールではPhの低下がほとんど起こりません。つまり、ショ糖に比べて虫歯になりにくいのです。
・ダイエット用甘味料としてのはたらきがあります。カロリーは砂糖と同じくらいですが、吸収カロリーが75%ほどです。
ただし、キシリトールは吸収がゆっくりなので、たくさん食べると下痢をすることがあります。
<キシリトールの効果的な摂り方>
せっかく摂取するのであれば、効果的なほうがいいですよね。
キシリトールで虫歯になりにくい状態を作りたい方は、ぜひ参考にしてください。
■一日を通して少量を回数多く摂る。
■甘味料として、キシリトールもしくはキシリトールが主に使われているシュガーレスの製品を使用する。
■1日に3回は使用する。虫歯になりやすい人は5回程度。
■毎日摂取する。
■食後や間食の後に摂る。
<キシリトールについてのQ&A>
Q1.キシリトールを食べれば歯磨きをしなくて良い?
A.歯磨きは絶対に必要です。キシリトールと併用することにより、歯垢がサラサラになって、落としやすくなります。
Q2.1日にどのくらいの量をとればいい?
A.粉末の場合5?10グラム、ガムだと3~10個が目安です。食事やおやつの後が効果的です。
Q3.キシリトールガムをかめない場合は?
A.お年寄りや歯の治療中の場合、ゆっくりなめて溶かすタブレットがお勧めです。効果はガムとほぼ同じです。
Q4.使い始めてからどのくらいで効果があらわれる?
A.100%のキシリトールガムを1日3回摂ることを3ヶ月ほど続けると、虫歯になりにくい状態になります。
<ガムを噛む時の注意点>
一般的に、「噛むことは健康にいい」と言われています。
しっかりと噛むことで胃腸の負担を減らしたり、痴呆の防止になったりと、噛むことの利点はたくさんあります。
しかし、「噛むことが歯にいいのですか?」と言われると、そういうわけではありません。
噛むことにより、歯が欠けたり磨り減ったり、詰め物が取れたりすることからも、噛む時の破壊力がお分かりかと思います。
たくさん噛めば歯は傷むので、噛みすぎは問題です。
最近は、歯軋りなどで歯が磨り減っているけれど、そのことに気づかれていない患者さんも多くいらっしゃいます。
気になる方は、ぜひ一度歯科医院で相談してみてください。
阿倍野区 西田辺えがしら歯科
歯科医師 院長 江頭伸行