知って得する「歯と健康寿命」の話
近年は「平均寿命」に加えて「健康寿命」という言葉をよく耳にします。
健康寿命とは医療や介護に依存せず、健康上の問題による制限をうけないで生活できる期間のことで、2000年にWHOから提唱されました。
日本の平均寿命は男女ともに80歳を超えた一方で、健康寿命は男性で71歳、女性で74歳と10年近く差があります。
そのため今後は寿命に対する健康寿命の割合を高めていくことが課題となりそうです。
その健康寿命について、2017年10月に日本歯科医師会から発行された雑誌にとても興味深い記事が掲載されていました。
今回はこの記事を参考にして、皆様に健康寿命と歯科との関わりなどについてご紹介したいと思います。
1. 健康寿命を脅かす「生活習慣病」
日本人の3大死因は「ガン」「脳血管疾患」「心臓病」ですが、この3つの疾患と深く関係しているのが高血圧や糖尿病などの生活習慣病です。
また近年は生活習慣病に内臓脂肪型肥満を併せ持つメタボリック・シンドロームにも注目が集まっています。
生活習慣病やメタボリック・シンドロームが健康寿命を脅かすリスクは、30歳を超えた壮年期あたりから大きくなることが知られています。
その要因の1つとなるのが食事です。
加齢にともない基礎代謝が低下するなかで、若い頃と同じような食事を続けると当然ながらカロリーオーバーとなります。
壮年期に余分な栄養を摂りすぎると免疫機能が過剰に活性化され、生活習慣病やメタボリック・シンドロームをさらに悪化させることにつながると言われています。
2. 動物性脂肪は依存性が高い
先に示した雑誌の中で、次のような興味深い内容を目にしました。
それは脂肪の中でも特に動物性脂肪は麻薬のような依存性があるという話です。
ある実験において、普通のエサで飼育したネズミと高脂肪のエサで飼育したネズミを2日間絶食させた後、それぞれのネズミに高炭水化物のエサと高脂肪のエサを与えます。
すると普通のエサで育ったネズミは高炭水化物のエサを、高脂肪のエサで育ったネズミは高脂肪のエサのみを食べるそうです。
ネズミに限らず生き物であれば、絶食後はまずエネルギーを補うために炭水化物を摂ろうとするのが本能でしょう。
しかし動物性脂肪は依存性が高く、常に摂取しつづけると脳がおのずとそれを求めてしまうということがこの実験で示されています。
また運動に関しても、運動すればするほど食欲が増加すると思われがちですが実は違うようです。
同様のネズミを使った実験でも、1日に適度に運動するネズミと全く運動をしないネズミでは、後者のネズミのほうが沢山エサを食べるという結果が出ています。
以上のことからも、生活習慣病やメタボリック・シンドロームの予防には適度な食事や運動が非常に大事であることがよくわかります。
3. 歯周病が糖尿病を悪化させる
歯科においても生涯を通した心身の健康維持を目的として、80歳で20本以上の歯を残そうという「8020運動」を推進してきました。
現在はその活動をさらにステップアップして「8020健康長寿社会」の実現を目指した活動へとシフトしています。
今では80歳で20本以上の歯を持つ人の割合がすでに5割を超えています。
しかし、その一方で歯周病になる人の割合は年齢を重ねるごとに増加する傾向にあり、さらに高齢者の歯周病患者も年々増えています。
歯周病は虫歯と並んで歯を失う原因の1つです。
しかし近年は歯周病が口腔内のみならず、体の健康にも悪い影響を及ぼすことが明らかになってきています。
その1つが糖尿病です。
歯周病菌は強い毒素を持っていますが、その毒素が血糖値を下げる役割のあるインスリンの働きを低下させることがわかってきました。
糖尿病が歯周病を悪化させることは以前から知られていましたが、その反対に歯周病が糖尿病を悪化させる可能性もあるのです。
実際に歯周病治療を行い、歯周病が改善すると糖尿病が改善したというデータもでています。
歯周病はそのほかに、動脈硬化を誘導して狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こすことや、リュウマチ、アルツハイマー病の原因になる可能性があることも、近年の研究で示唆されています。
そのため今後の歯科では特に歯周病の予防や改善に重点をおくことで、健康長寿社会をサポートしていくことが求められています。
4. 歯の健康が体の健康の基本となる
高齢化が進むこれからの時代は、寿命に対する健康寿命の割合をいかに増やしていくかが重要となります。
歯科においてはまず「自分の歯でしっかり噛むこと」が健康への第一歩ととらえ、自分の歯を1本でも多く残すための取り組みを行ってきました。
その努力が功を奏し、近年は高齢になっても自分の歯を多く残す方が年々増加しています。
今後は残っている歯を歯周病の脅威から守り、健康的に歯を残していくことに焦点が置かれることでしょう。
歯周病は歯が抜ける原因以外に、糖尿病や心臓病、リュウマチ、アルツハイマー病などの全身疾患にも大きな影響を及ぼすことが明らかになっています。
しかしその歯周病はなかなか症状があらわれない疾患であるため、初期の段階で見過ごされがちです。
そのため皆様には、できるだけ早い時期から定期的に歯周病検診を受けておくことをぜひお勧めしたいと思います。
5. 最後に…
この度はホームページをご覧頂きありがとうございます。
歯の豆知識ページの歯科治療において、皆様へ何かしらの参考やお役に立てればと思い作成させていただいております。
当院でも「8020運動」をつうじて、一本でも多くの歯を救い、皆様の健康維持・増進につなげ、健康寿命を伸ばすことに寄与したいと考えております。
そのため、日々研修を行いセミナーに参加し技術力UPのトレーニングを行っています。
また、安心してご来院頂けるように、お口の状況・治療内容など詳しく検査し、歯科カウンセラーがご説明した上で、極力、痛くない治療を進めています。
皆様と笑顔で楽しい毎日、そして何でも食べられる喜びを分かち合えるよう、スタッフ一同しっかりサポートさせて頂きます。
お口に関するお悩みやご質問などございましたら、お気軽にご相談ください。
厚生労働省認可 再生医療施設
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参考資料
・歯っぴいスマイル 2017年10月 日本歯科医師会発行
http://www.jda.or.jp/pr/pdf/happysmile/happysmile_vol25.pdf
・8020運動 日本歯科医師会
https://www.jda.or.jp/enlightenment/8020/dream.html#jitsugen
・平均寿命と健康寿命をみる 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/chiiki-gyousei_03_02.pdf