歯周病治療で行うSRPとは
目次
SRPとは
SRPは歯科衛生士によって行われる歯周病治療の一つであり、Scaling and Root Planing(スケーリング・ルートプレーニング)の略称です。
SRPは、歯周ポケット内にたまった歯石(プラークや歯垢が固まったもの)やバイオフィルム(細菌の集合体)を除去するための非外科的な処置です。
歯石には、歯茎より上の歯の表面につく縁上歯石(えんじょうしせき)と、歯茎より下の歯根面につく縁下歯石(えんかしせき)の2種類あります。
歯科においては縁上歯石のみを対象にした処置を『スケーリング』、縁下歯石を対象にした処置を『SRP』(エス アール ピー)と呼ぶのが一般的です。
今回はこのSRPとはどのような治療なのか、その目的ややり方、注意点などを詳しくご紹介したいと思います。
1. SRP(スケーリング・ルートプレーニング)の目的
SRPは『スケーリング(Scaling)』と『ルートプレーニング(Root Planing)』という、歯周病治療における2種類の治療の総称です。
両者は一連の動作としておこなうことが多いため、2つをあわせてSRPと呼んでいます。
ではそれぞれの方法や目的について、詳しく解説していきましょう。
スケーリング(Scaling)
スケーリングは簡単にいえば『歯石取り』のことです。
歯石はそれ自体が歯茎に悪い影響を及ぼすわけではありませんが、細かい凹凸の多い歯石は歯周病菌のすみかとなります。
そのため歯周基本治療では最初に歯石をすべて取り除き、歯周病菌が感染しにくいお口の環境へと整えていきます。
歯周病の基本治療では歯周検査を行い、まずブラッシング指導(プラークコントロール)と歯肉縁上の歯石の除去を目的としたスケーリングを行います。
その後、
歯肉縁下の歯石の除去を目的としたSRP(スケーリング ルートプレーニング)という治療へと進めていきます。
歯石が付いていない歯と付いた歯の比較
ルートプレーニング(Root Planing)
ルート(Root)は「歯根」を、プレーニング(Planing)は「平らに削る」という動作を意味しています。
つまりルートプレーニングを簡単にいうならば、歯根の表面をツルツルとした平らな面に仕上げていく作業となります。
そのルートプレーニングには2つの目的があります。
まず1つ目は、歯根面に付着した歯周病菌や、その歯周病菌に汚染された物質をきれいに取り除くことです。
歯根の表面は『セメント質』という組織に覆われていますが、歯周病菌はこのセメント質にも感染します。
歯周病菌に侵されてしまったセメント質をそのまま放置しておけば、さらに感染は拡大し、歯を支える歯槽骨にまで波及する恐れがあります。
そのため歯周基本治療では、歯周病菌に感染したセメント質をルートプレーニングによってきれいに取り除いていきます。
そしてルートプレーニングのもう1つの目的は、歯根の表面を滑らかにしていくことです。
スケーリングによって歯根についた歯石(縁下歯石)を取り除いても、歯根の表面にざらつきが残ってしまうと再び歯周病菌が付着しやすくなります。
そこでスケーリング後にルートプレーニングをおこない、歯根面を滑らかにすることで歯周病菌の再感染を予防していきます。
2. SRPの実際
それではSRPはどのようにおこなわれるのかを、ご紹介していきましょう。
高度な技術が要求されるSRP
SRPは歯周病が進行していて歯周病検査で歯周ポケット深くになった部位に対しておこなう治療です。
SRPは通常、局所麻酔を使用して行われ、一般的には複数回のセッションに分けて行われることがあります。
歯周ポケットの中は直接目で確認できないため、手指の感覚のみを頼りに治療がすすめられます。
そのためSRPには高い技術が要求され、熟練した腕を持つ歯科衛生士しかおこなうことができません。
しかし現在、歯科衛生士学校ではSRPの実施研修はおこなわれておりません。
歯科医院に就職後に先輩歯科衛生士に教えもらうか、研修会に参加し技術を習得します。
歯肉縁下の歯石が除去出来ているかは、患者さん本人には確認できません。
キチンと研修を受けた歯科衛生士のいる歯科医院で治療をしましょう。
西田辺えがしら歯科では、月に1日、定期的に歯科衛生士の院内研修を行っており知識や技術の研鑽を行っております。
また当院の歯科衛生士は、SRPの技術試験に合格しております。
SRPで使われる器具
SRPでは『グレーシー キュレット』と呼ばれるSRP専用のスケーラーが使用されます。
キュレットは通常のスケーラーよりも先が細く、また歯根の形にあわせてカーブが付けられています。
・歯周病治療用のグレーシー キュレット
そのカーブは部位別(前歯部・小臼歯部・大臼歯部/頬側・舌側側など)で微妙に異なり、周囲の組織を傷つけないよう細かく設計されています。
SRPのやり方
SRPは歯周ポケットが深いほど操作が複雑になり、処置に時間を要します。
また、出血を伴い一気に治療を進めると患者様の負担になるため、基本的には4ー6歯ぐらいを1回の処置(約30~60分)としておこなっていきます。
多数歯の場合は、数回に分けて行います。
術者は治療する部位に適したキュレットを選択し、歯周ポケット内にキュレットを慎重に挿入しながら歯石や感染物質の除去などをおこなっていきます。
SRPは痛い?
SRPでは歯周ポケットの奥深いところまで操作をおこなうため、場合によって痛みを伴う場合があります。
そのためあらかじめ痛みが予想される場合は、麻酔の処置をおこなって治療を進めていきます。
また歯石の量が多い、もしくは歯周ポケットが深いケースでは、SRPの処置後にも多少の痛みや違和感を覚える場合があります。
ただ症状は施術後2ー3時間程度で軽減し、1ー2日後には元の状態へ戻ります。
3. SRPの注意点
SRPをおこなうにあたっては、いくつか注意しておきたい点があります。
治療を受ける際は以下の点に気をつけましょう。
全身の病気でお薬を飲まれている方
高血圧や心臓、脳梗塞など病気で血液をサラサラにするお薬を飲んでいる方、糖尿病のある方、骨粗鬆症の投薬や注射を受けている方など、全身の病気でお薬を飲まれていて歯周病のSRPの治療する方は事前に申告しておきましょう。
SRPは外科手術ではありませんが、治療の際に多少の出血を伴います。
血が止まりにくい場合がありますので、血液の流れをよくする薬(ワーファリン等)を服用している方は、あらかじめお申し付けください。
また糖尿病の方は治療後、通常より治りが悪かったり、痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります。
血糖値のコントロール(Hba1cの数値が7未満)が良好であればさほど問題はありませんが、念のため事前にご申告ください。
骨粗鬆症の方は、歯茎の骨(歯槽骨)への感染する可能性がありますので、こちらも念のため事前にご申告ください。
SRPを行った日の歯磨きについて
SRPの処置後、特に痛みなどがなければ通常通り歯磨きはおこなっていただけます。
ただSRPをおこなった部位に関してはやや弱めの力で歯磨きをおこなうとよいでしょう。
もし痛みや違和感のある場合は、柔らかめの歯ブラシで優しく歯を磨き、症状が落ち着いてから通常の歯磨きをおこなってください。
SRPの後に歯がしみる(知覚過敏)
SRPの処置をおこなうと、冷たいものが歯にしみる症状がでる場合があります。
これを知覚過敏症と言います。
ただ一時的なものがほとんどで、決して歯が悪くなったわけではないので安心してください。
まずは1週間ほど様子をみて、それでも症状が変わらない場合は担当医に相談してみましょう。
4. 最後に…
この度はホームページをご覧頂きありがとうございます。
歯周病の進行を抑え、歯肉の健康を回復させるためには、SRPと定期的なプロフェッショナルクリーニング、適切な歯磨きやフロスなどの口腔衛生管理が必要です。
当院では安心してご来院頂けるように、お口の状況・治療内容など詳しく検査し、歯科カウンセラーがご説明した上で、極力、痛くない治療を進めています。
皆様と笑顔で楽しい毎日、そして何でも食べられる喜びを分かち合えるよう、スタッフ一同しっかりサポートさせて頂きます。
お口に関するお悩みやご質問などございましたら、お気軽にご相談ください。
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